建築工事の一部を担うサブコン各社の中でも「電気通信設備工事」に強い大手3社をご紹介するとともに、今後の業界動向について解説していきます。
元請けであるスーパーゼネコンやゼネコンが受注し、そこから実際の工事を行う下請けのサブコン、さらに下請けの孫請け会社へと工事を発注します。
つまり、サブコンはゼネコンの下請けとして建築工事の一部を請け負う業者なのです。
現代の建物は高度な技術の集合体であるため、作るには電気工事や電気通信工事、配管工事などの専門的な工事が必要になり、こういった設備系の工事をサブコンが請け負います。
下請けと言っても、現場作業におけるサブコンの技術力は非常に高く、大手サブコンですと、会社の規模や待遇がゼネコン以上のところもあります。
本記事でご紹介する『電気通信設備工事業』は電話やテレビ、インターネットなど通信設備の設置・施工を専門としている企業で、「コムシスホールディングス」「協和エクシオ」「ミライト・ホールディングス」が業界を牽引しています。
「電気通信工事」と「電気工事」は名前がよく似ていますが、実際に扱う設備は大きく異なります。電気通信工事は情報伝達を目的にした電気設備、電気通信工事以外の大きな電力を扱うのが電気工事です。
業界全体の2020年3月期の業績は好調でした。特に、本記事で取り上げるコムシスホールディングス、協和エクシオ、ミライト・ホールディングスはいずれも売上高が2ケタパーセント増の大幅な増加となっています。
2021年3月期の業績予想については多くの企業で新型コロナウイルス感染拡大の影響により業績予想を出すことを控えており、不透明な状況が予想されています。その中で、業界トップのコムシスホールディングスはほぼ横ばいの微減ながら減収減益の見通しを示しています。
それでは、電話やテレビ、インターネットといった電気通信設備の工事に長けているサブコン大手3社「コムシスホールディングス」「協和エクシオ」「ミライト・ホールディングス」の特徴をご紹介していきましょう。
売上高 | 経常利益 | 従業員数 | 平均年齢 | 勤続年数 | 平均年収 |
---|---|---|---|---|---|
5,608億8,200万円 | 400億6,400万円 |
16,844人 |
50.0歳 | 20.0年 | 912.7万円 |
※2020年3月期の有価証券報告書より作成 ※売上高・経常利益・従業員数は連結ベース。他は単体 ※同社は純粋持株会社のため従業員数を連結ベースとした |
コムシスホールディングスは情報通信工事事業を軸に事業展開をする総合設備会社で、通信設備工事で首位を誇ります。強みである通信設備工事以外に、都市の環境整備やICT関連工事、太陽光発電などの再生エネルギー事業に至るまで様々なインフラ工事を手掛けます。
平成15年9月に設立してから、日本コムシスやNDS、サンワコムシスエンジニアリングなど多くの子会社を抱えグループ企業を拡大してきました。今後もグループ企業のさらなる拡大とともにICTを活用して業務効率化を図ることに注力し、2023年度には6,000億円以上の売上高達成を目標に掲げています。
※同社は純粋持株会社であり、かつ売上高の90%以上が国内のためグラフの掲載は省略します。
電気通信設備業の仕事は高度な専門性が要求される仕事です。
取り扱う設備と対象となる施設、職務内容にもよりますが、資格や経験が必要とされることがほとんどです。また、資格を持ち実務経験があったとしても、それだけでは転職は簡単なことではありません。
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売上高 | 経常利益 | 従業員数 | 平均年齢 | 勤続年数 | 平均年収 |
---|---|---|---|---|---|
5,245億7,400万円 | 306億6,900万円 |
13,882人 |
42.7歳 | 17.3年 | 760.1万円 |
※2020年3月期の有価証券報告書より作成 ※売上高・経常利益・従業員数は連結ベース。他は単体 ※他社データと基準を揃えるため従業員数は連結ベース(カッコ内は単体従業員数) |
協和エクシオは2019年(令和元年)8月時点で38社のグループ会社を抱える総合設備会社です。
創立以来、日本全国の通信インフラ設備の構築・保守を担う通信インフラ事業を軸に、事業領域を拡大してきました。通信設備工事に関しては最先端の技術を用い、世界90数カ国の大型プロジェクトに参画しており、活躍の場は広がっています。
通信インフラ事業以外にも電気・土木・環境インフラ事業、ネットワーク インテグレーション、システム インテグレーションといった事業を展開して成長を続けています。2018年10月には西日本3社との経営統合を果たし、グループ力を高めています。
売上高 | 経常利益 | 従業員数 | 平均年齢 | 勤続年数 | 平均年収 |
---|---|---|---|---|---|
4,411億6,600万円 | 232億700万円 |
12,580人 |
41.2歳 | 15.8年 | 669.1万円 |
※2020年3月期の有価証券報告書より作成 ※売上高・経常利益・従業員数は連結ベース。他は単体 ※当社は純粋持株会社のため従業員数を連結ベースとした |
通信インフラ設備の構築に強い大明(株)、(株)コミューチュア、(株)東電通が2010年10月に経営統合し、ミライト・ホールディングスが設立しました。ミライト・ホールディングス自体は設立して間もない持株会社ですが、情報通信エンジニアリング事業の強みを活かしながらM&A等により事業領域を拡大し、2019年3月31日時点でグループ企業数は国内55社、国外19社にもなりました。
今後もさらに事業領域を拡大し、「総合エンジニアリング&サービス会社」として持続的な成長を目指します。
※同社は純粋持株会社であり、かつ売上高の90%以上が国内のためグラフの掲載は省略します。
震災の復興にかかる電気通信設備の投資や2021年に開催される東京オリンピックを背景に工事量が増加し、建設業界全体の景気は良いと言えます。建築はゼネコン、サブコンが協力して工事を行いますので、サブコンの工事受注数も増加するのです。
建物内の設備は定期的なメンテナンスが必要なため、サブコンの活躍の場は新築時だけではありません。メンテナンス収入のほか、建築設備の比重は増加傾向にあり、電気通信工事を主軸とするサブコンは将来性ある業種と言えるでしょう。
将来的になくなる業種ではなく、今後は電気通信設備がIoT(Internet of Things、あらゆるモノがインターネットに繋がること)普及に対応していく等、時代に合わせて事業内容に変化が求められていきます。