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  • 清水建設/神谷町トラストタワーに超高層制振/1台で2通りの揺れ抑制

     清水建設は、東京・虎ノ門で建設を進めている神谷町トラストタワーに、同社が開発した超高層ビルをターゲットとした新たな制振装置「シミズ・スイングマスダンパー(SMD)」を適用している=写真。地震時や強風時に建物に生じる揺れを吸収する長周期地震動対応の制振装置で、1台の装置で長辺・短辺両方向の周期の異なる2通りの揺れを抑制できることが特徴だ。30階と31階の間のフロアに設置した4基のSMDが、地震時と強風時の建物の揺れを、それぞれ最大で15%、25%抑制する。

     

     SMDは、鋼製またはコンクリート製の錘(おもり)、錘を支える4本の脚で構成。各脚は2段重ねの積層ゴム製で、装置の中には内蔵型制振装置、錘の揺れを減衰させるオイルダンパーを組み込んでいる。積層ゴムは通常の免震ビルに使われるもので、固さと直径、高さを調整することで、錘とビルの揺れの周期を同調させる。内蔵型制振装置は、建物に生じる周期の長い揺れを打ち消す際に機能する。制振装置が機能すると、短辺方向の錘の振動周期が長周期化する。

     

     長辺・短辺の2方向最適制御により、同サイズのTMD(チューンド・マス・ダンパー)より応答低減効果が大きくなり、低減効果が同程度のTMDより装置をコンパクト化できる。設置自由度の拡大により、ニーズに最適な建物設計を可能とした。

     

     神谷町トラストタワーは、平面形状が長方形をしており、地震や風による揺れの周期が短辺方向で4.6秒、長辺方向で4.2秒と異なることからSMDを適用した。適用したSMDは、縦12m、横7m、厚さ1m、重量380tの鋼製の錘、2段重ねした直径60cm、高さ36cmの積層ゴムの脚(4本)、内蔵型制振装置2台、オイルダンパー8台で構成している。

     

     神谷町トラストタワーの規模はS・SRC・RC造地下3階地上38階建て延べ19万5190㎡。発注者は森トラスト。設計は安井建築設計事務所と清水建設、建築設備設計研究所が担当。施工は清水建設。工期は2020年3月中旬まで。建設地は東京都港区虎ノ門4-24-6ほか。

     

     開発コンセプトの1つである「グローバルビジネスを支援する最先端のオフィス機能」を確保するため、制振技術を駆使した。ビルの変形を吸収する既製の制振ダンパーを各階に配置し、建築基準法の1.5倍相当の耐震性能を確保した上で、SMDを適用した。

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    掲載日: 2019年9月3日 | presented by 建設通信新聞

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