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  • 記者座談会・土木学会22年度会長候補内定/水素製造に建設業が関心

    ◆多様な研究成果、豊かな国際経験に期待

     

    A 土木学会の2022年度会長候補に、上田多門北海道大名誉教授が内定したね。6月に開かれる定時総会を経て、第110代会長への就任が正式決定する予定だ。

     

    B コンクリート構造物や複合構造物を対象に、実験的応用と数値的応用の両面から構造物の破壊状況の評価・改善への基本的・実践的な対応策の検討などを研究領域とする。この実績以上に興味深いのは、北大大学院工学研究院に持つ上田氏の維持管理システム工学研究室が「国際的研究室」と言われていることだ。

     

    C その表現どおり、多くの留学生を受け入れて、多様な研究成果につなげている。上田氏自身もいまは中国の大学で教鞭を執っているという。新型コロナウイルス感染症の影響で、建設業の海外展開が大幅に停滞する中、豊かな国際経験が学会活動や土木の発展に生かされることが期待されるね。

     

    A ところで上田氏は次々期の会長だ。なぜ土木学会は2期先の会長を早めに選ぶの。

     

    B 土木学会会長は1期1年を任期とし、任期終了後には後任に受け渡すのが慣例だ。現会長は前会長と自身の思いを込めて、当該年度の取り組みを組み立てる。それを練り上げて着実に遂行するための準備期間として、就任の1年以上前に選任しているのだろう。当然ながら、業務の円滑な引き継ぎという側面もあるよ。

     

    C 家田仁現会長の後任会長には、谷口博昭建設業技術者センター理事長が就く。国土交通事務次官を経て、国土技術研究センター理事長、全国土木施工管理技士会連合会会長などを歴任した。土木業界に精通した適任者と言える。コロナ禍などによって業界も転機を迎え、舵(かじ)取りは簡単ではないが、以前から定評のあるリーダーシップを遺憾なく発揮してほしいね。

     

    ◆港湾地域の再開発にチャンス

     

    A ところで最近、企業の水素関連のリリースが多いね。

     

    D おさらいになるけれど、政府のカーボンニュートラル方針は50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという宣言だ。“ゼロ”というのは、“省エネ”とはわけが違う。排出権取引の活用を考慮しても、エネルギー源を化石燃料に頼ることが難しくなる。風力発電などの再生可能エネルギーを活用するという考え方もあるが、内燃機関や大規模電気需要者には活用しにくい。その点で水素に注目が集まっている。再エネで発電した電気で水を電気分解すれば、CO2をほぼ発生させずに水素を製造でき、その水素が自動車や燃料電池などさまざまなもののエネルギー源となる。

     

    E 大手商社などはこぞって水素製造プロジェクトなどへの参画を発表している。海外での水素製造拠点整備だけでなく、福島県や中部圏、北九州など国内でも拠点整備の動きが出ている。

     

    A 水素製造プラントの建設はプラント系企業が中心だろう。建設業が関与するのか。

     

    D 水素製造には大量の水が必要なため、港湾地域にプラントを建てる必要がある。できた水素を船で輸送するための巨大な岸壁も必要だし、水素の需要家とされる工場などが集まっている場所が水素製造の適地とされ、洋上風力発電の電気を水素製造に活用するにも港湾区域が都合良い。建設業は洋上風力、港湾整備、工場建設のいずれにも親和性が高く、建設請負のチャンスが増えるほか、水素製造の事業者側への参画を目指すゼネコンも出てくるだろう。その意味で、これからも水素製造拠点整備に関するニュースはしっかりと注目したい。

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    掲載日: 2021年3月26日 | presented by 建設通信新聞

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