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【建設パーソンのカーライフ】建築家・松永 基は問う「建築もクルマも、そこに意図はあるか?」

【建設パーソンのカーライフ】建築家・松永 基は問う「建築もクルマも、そこに意図はあるか?」

魂が込められているクルマに乗りたい

ランチア・ベータ・モンテカルロ。1975年に発表された、量産車としてはランチア初のミドシップ方式(エンジンが運転席背後に搭載される)のモデルだ。

船首のようにシャープな“逆スラントノーズ”が特徴のランチア・ベータ・モンテカルロ。

「建築家の先輩が乗っていたんですよ。新年会などで年に1回ぐらい会うたびに、『もう3年ぐらい、乗ってないんだよ。ずっとガレージに入っているんだ』なんて話を聞いていた。それが『4年』『5年』になり、とうとうある年に『もう手放す』。なんでも新車のスポーツカーを買うのだけれど、ディーラー査定では値が付かなかった。ただ、エコカー減税によって13年以上の旧車を廃車にすれば、代わりに30万円値引いてくれるから、と」

驚いた松永さん。「ええっ、モンテカルロ、つぶしちゃうんですか!? じゃあぼくが引き取りますよ」とその場で先輩に交渉、ディーラーに問い合わせ、すでにディーラーに預けられていたモンテカルロを夜中にレッカー車で引き取りに。ギリギリなんとか、間に合ったんだとか。

「その時にはじめて見たんですけれどね、実車」

そう、日本に100台も現存しないという希少車ゆえ、雑誌で見たことしかなかったのだ。ガレージ保管だったので内外装の状態は悪くなかったものの10年ほど動かしていなかったクルマを、即購入した松永さん。その動機はやはり……?

「モンテカルロはピニンファリーナ(イタリアの自動車デザイナー)の手によるもので、ピニンファリーナらしさがギュッと詰まったデザインなんです。レースにも出場していたし、血統を継ぐランチア・ラリー037は世界ラリー選手権で大活躍。ぼくの中で、モンテカルロは“レーシングカー”なんです」

1977年製のこのクルマ、入手してから走れるようになるまで、少々手がかかったものの、この5年ほどは快調だという。いまでは月に1回程度、サーキットに持ち込み、その走りを堪能している。「ミドシップのせいか、ちょっと気を抜くとすぐコマのようにクルッと回る」と語る表情は……実に嬉しそう。希少なクルマでも、愛でるための骨董品のごとく飾っておくのではなく、あくまで「走る機械」として扱うのも彼の流儀である。

スーパーカー世代の胸に刺さるであろうリアビュー。

ここまで読んで「旧いクルマの所有なんて、しょせんお金持ちの道楽じゃないか」と思う向きもあろう。松永さんはいたずら好きな子供のように笑いながら、こう話す。

「ぼく、人生で50万円以上のクルマに乗ったことがないんです」

前述のようにモンテカルロは30万円、シトロエンBXはヤフオクで7万円で落札。もう一台、日常の足として乗っている2006年式シトロエンC4はメルカリで29万円だったとか(!)。

「貧乏だから」なんて謙遜するが、そのすべてが買ってそのまま乗り出せるわけもなく、修理やメンテナンスにそれなりのお金がかかるのも事実である(モンテカルロはシンプルな機構のため『維持費は安い』そうだが……)。

艶めかしい革張りの内装もモンテカルロの魅力だが、松永さんは硬派にもこのクルマをサーキットで走らせる。

それでも「自分のクルマ人生はとても幸せです」と松永さんはきっぱり言い切った。お金をかけること、すなわち幸福なカーライフではない。松永さんの幸せそうな笑顔がそれを証明している。

 
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「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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