建設の匠
Powered by
建設転職ナビ
メニュー
メニュー閉じる
キャリア

「優秀外国人建設就労者表彰」で外国人建設パーソンの受入建設企業が見せた涙のワケ

「優秀外国人建設就労者表彰」で外国人建設パーソンの受入建設企業が見せた涙のワケ

2018年12月、国会で成立した改正出入国管理法。政府は今年4月からの外国人労働者の受入拡大のために新制度導入を目指し、「建設キャリアアップシステム」についても、外国人建設技能者と受入企業の双方に登録を義務化する。4月から新設される在留資格「特定技能I号」には多くの技能実習生が移行することになるだろう。

しかし国会審議の際には、建設業で働く外国人労働者の不法就労や不当な労働条件が問題になった。劣悪な労働環境による失踪も後を絶たない。

技能実習生の「失踪」が過去最多に 背景に過酷な経済状況

建設業界での技能実習生失踪の多さには、使い捨て労働力のように扱う思想が根本にあり、長い拘束時間や低賃金、パワハラ(と捉えられる行為)が原因だといわれている。これからの法改正にあたり、搾取ではなく、外国人労働者と受入企業のWIN-WINな関係は本当に構築できるのだろうか?

時代が求める建設ICTパーソン像

3月4日、東京・霞が関で「2018年度優秀外国人建設就労者表彰」が開催された。

2015年4月にスタートした「外国人建設就労者受入事業」。これは東京オリンピックの建設ラッシュのため、即戦力となる外国人労働者の受入促進を図る制度である。対象は技能実習修了者で、在留資格は「特定活動」。国交省によれば、現在、約5,500名の外国人建設就労者が建設現場で働いているという。

中国籍のオウ・ホウワさんは、2012年から5年のあいだ技能実習生として学び、帰国後は習得した技術を活かし、中国の国有鉄鋼会社で管理者として品質管理や技術指導等に携わっていた。

2017年には特定活動のため建設就労者として再入国し、AW(=Architectural Welding、建築の溶接)検定試験に合格。溶接技術のUT不合格率0%を継続するほど高い技術力を持っている。過去には京都府の技術競技会で京都府知事賞(団体部門)を受賞した実績も。

あいさつするオウ・ホウワさん(隣は通訳者)。

「日本で学んだのは溶接技能だけではなく、礼儀・規律・優しさ」と語るオウさん。日本語は完璧ではなかったが、通訳を介して「私はこの賞(の受賞)を新たなスタートとして、すべての面で高い志を持ち、日々、励んできたい」と話した。

代わってあいさつに立ったのは、受入先企業の建築鉄骨の設計・加工・製作、施工を行っているエーブルコンストラクション(株)代表の三和氏。

「こんなつもりでは……」とこみ上げる涙を堪えるエーブルコンストラクションの三和氏。

三和氏はあいさつしようとするも、何度も言葉に詰まっていた。こみ上げる思いを堪えるのに必死の様子だった。オウさんの受賞式に同席し、「昔の話を急に思い出した」のだとか。

「この場でこんなことを言う気もなかったんですが……オウくんは技能実習生の頃にお父さんが病気になり、ICU(高度集中治療室)に長く入られた末に亡くなられた。彼はそんなお父さんのために、日本人では考えられないような金額を仕送りしていました。そこまでして、お父さんの命を守ろうとしたんです」と三和氏。

その後のオウさんは、いっそう仕事に精を出し、日本人でもなかなか受からないような試験に合格した。「技術的レベルは非常に高い」と三和氏も太鼓判を押すほどだ。

「彼の前向きに溶接技術に向き合う姿勢は、当社の人間にとっても非常に手本になっています。社員全員が、オウくんの受賞を祝福しています。本当にうれしい……ごめんなさい、本当に涙が止まらないんです」

三和氏の心を打ったのは、オウさんの家族思いな人柄と、匠の技を磨こうと努力する姿勢なのだろう。国籍云々ではなく、このような関係が築くことができる外国人受入先が今後も増えれば、外国人人材とのWIN-WINな関係が持続できるのではないだろうか。

 

WRITER
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
建設転職ナビ