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【建設×ダイバーシティ】「JobRainbow」星 賢人代表に訊く建設業界のLGBT採用【前編】

【建設×ダイバーシティ】「JobRainbow」星 賢人代表に訊く建設業界のLGBT採用【前編】

働き方改革の牽引役として有名なワーク・ライフバランス社代表の小室淑恵さんによれば、「働き方改革の前提にあるのはダイバーシティだ」なんだとか。

単純に考えれば、超人材不足のこの時世において、男性だけが働く世界が成り立つはずがない。しかし、建設業界は「けんせつ小町」「女性活躍」という言葉がいまだにもてはやされるぐらいの「コテコテの男性社会」である。

では、身体は男性、心は女性で非常に能力が高い人だったら? あるいはその逆だったら?

それでも「建設現場は男性社会であるべき」と言い切れるのだろうか。

社会に風穴を開けるべく活動するイノベイターたちの話を聞いた。

星さんが起業した理由

星 賢人さんは、LGBTの“G”、いわゆるゲイである。男子校にいた中学生の頃、同性に恋心を抱く自分の性的指向に気づいた。しかし相談できる人もおらず、「オネエ」「オカマ」といじめを受け、「なよなよしている方が悪い」という理由で教師にも相手にされず、中学校生活の約半分は不登校だった。

彼を救ったのはインターネットだった。広い世界とつながることで、当時LGBTが20人にひとりもいると知り、「自分は変じゃない、孤独じゃないんだ」と思えるようになった。大学では同じように悩む人のセーフティネットとなるべく、LGBTサークルを立ち上げた。トランスジェンダーの親しい友人もできた。

だが、その友人が就職活動の際、試練が訪れる。エントリーシートは「男」「女」のいずれかに○を付けなければいけない。「この会社なら話してもいいかも」と思った会社の面接でトランスジェンダーであることを明かしたら、面接官から一言、「あなたみたいな人は他にいないので、当社では採用できない」。結局その友人は就活をあきらめ、大学からも去ってしまったのだという。

星さんはLGBTへの悲しい差別を目の当たりにし、「こんな世の中をどうにか変えたい」という強い衝動に突き動かされた。すべてのLGBTが自分らしく働ける社会の創造を目指して、ビジネスコンテストに応募し、見事に優勝。大学院在学中にJobRainbowを立ち上げ、いまに至っている。

建設業界を志望する人は11%、しかし壁は高い

星さん率いるJobRainbowは、現在下記のような事業を展開している。

 

・LGBT求人サイト「ichoose」の運営

・企業向けLGBT研修・コンサルティング

・メディア運営

 

「ichoose」は勤務上で性差がない、服装や髪型が自由、トイレや福利厚生もLGBTに配慮しているなど、LGBTフレンドリーな会社を厳選して掲載する求人サイトだ。現在はIBMやラッシュ、ソフトバンクからベンチャー企業まで、92社が利用している。

JobRainbowの調査によれば、サイト登録者の11%が各業界の中で建設・不動産業界を志望しているという。これは他業界に比べても低い数字ではない。星さんの見立てによれば、「実は職人や運送業にLGBTの方は少なくない。特にトランスジェンダーFtM(Female to Maleの略、生まれた時は女性で男性の性自認をもつ)の人はサイト内のデータを見ても、男らしさが求められる仕事に就きたい傾向がある」とのこと。

一方で、建設業界のLGBT受け入れの動きは、残念ながら鈍いそうだ。

「建設業界に限らず、LGBT受け入れを掲げていても、実態が伴っている企業はまだまだ正直少ないと思います」と星さんは話す。

「東京オリンピックのスポンサーや関係企業には「持続可能性に配慮した調達コード」が設けられていて、『社会的少数者(マイノリティ)の権利尊重』という項目があります。LGBT差別はNG事項です。そうなれば『形式上はダイバーシティに取り組みました』という企業もやはり少なくないと思います」

それでも、と星さんは続ける。

「コンサバティブな業界こそ、上から発信していかなければ下にいる人は安心できない。大企業の取り組みを発信すれば、その周辺にある協力企業や関連企業にとっても刺激になる。それは変革の第一歩になりうると思っています」

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「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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