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【建設×ダイバーシティ】JobRainbow星 賢人代表に訊く建設業界のLGBT採用【前編】

【建設×ダイバーシティ】JobRainbow星 賢人代表に訊く建設業界のLGBT採用【前編】

南富士株式会社での研修が転機となるか

そんな折、ひとつのターニングポイントとなりそうな依頼が舞い込んだ。静岡県・三島市にある南富士株式会社からのLGBT研修依頼だ。

南富士は、関東一円・静岡に500人の職を抱え、月々1000棟以上の屋根外壁工事の施工量は日本一の実績を誇る。なおかつ、中国・ベトナム・インドネシア・ミャンマーで人材育成に取り組んだり、ひきこもり支援にも力を入れるなど、ダイバーシティ化にきわめて高い意識を持つ会社である。「今後のLGBT人材獲得も視野に入れているため、その理解を深めたい」という依頼を受け、星さんは9月に南富士の杉山会長を含む幹部向けLGBT研修を行った。その反応は?

「そこまでダイバーシティに理解のある会社でさえも、私の話を聞くまで、『いわゆる新宿2丁目のゲイバーにいる人やテレビの“オネエタレント”のイメージしかなかった』という方はやはりすごく多かった。でも研修後は、『偏見がなくなりました』『私たちと何ら変わりませんね』という反応になっていました。

たとえばセクシュアルマイノリティの人は、自己肯定感が低いなどの特徴があるんです。それは外国人の方や引きこもりの方など、他のマイノリティにも共通して持っているメンタリティだったりする。そんな共通性を感じ取っていただけたみたいで、むしろ自分ごとのように身近に感じていただけたのかな、と」

東京や大阪のような多様な人材がまじりあう大都市圏ではなく、三島市という地方都市からの発信は、ロールモデルという意味で意義があるのではないだろうか。南富士は業界のロールモデルとなるべく、現在「ichoose」への求人掲載を予定しているという。ここからじわじわと理解が広がっていくことを、星さんは期待している。

LGBT受け入れの指標が目安に

星さんは人材不足のいまが「すごくいいタイミング」だと話す。その真意は?

「『LGBTがLGBTだとカミングアウトしない世界がいい』とか『“LGBT”という言葉なんてなくなったらいいよね』という理想はよく語られますし、企業の形式的な対応には批判も少なからずあります。ただ私が思うに、いきなり一足飛びにその領域までは絶対に行かない。まずは興味や関心を持って、情報を仕入れるという段階がないといけないのかなと日々思っています。

超人材不足な状況下で、企業に商業的戦略やねらいがあってもいいので、とにかく興味・関心を持ってもらうことが大切です。そうなれば、どんな情報をインプットしていけばいいのか? となる。そこで弊社のようなプロフェッショナルのサービスを活用していただいて、LGBTに関する理解や正しい知識を持ってもらう。そして行動を変えるところまでサポートする。そして社内の人が主体となって、制度を変えて、現場の価値観を変えていく。それがすごく大切です」

日本はもともと多様性の真逆、きわめて画一性の強い社会だと評される。その中でたしかに劇的な変化は、大きな反動をもたらす恐れもある。一方で横並び意識が強いため、なにかのきっかけでオセロのように一気に切り替わることもある。

ライフネット生命が同性パートナーであっても死亡保険金の受取可能にして以来、保険業界が一斉にその流れになったのがその好例だと、星さんは言う。建設業界においても同様に、小さな波がやがて大きな波に変わるのかもしれない。

星さんは、いま就職や転職のマインドがかつてと大きく変わったと強く感じている。

「これまでは雇用条件やブランドで、勤め先を選んでいたけれど、いまは自分の働き方や経営者の理念に共感できるかなどで選ぶ人が増えていますよね。LGBTに関しても同様で、今までは当事者の方も、『年収が高いから仕方なく環境面は我慢しよう』と職場を選んでいたものが、いまは LGBTフレンドリーな会社で働きたいと思うようになってきました。実はLGBT以外の人でもLGBTフレンドリーな会社で働きたい、そうではない会社よりも就職したいと感じる人が68%もいるそうです。

なぜならLGBTというのは、ダイバーシティの中でも最先端の社会課題だから。それが対応できている会社は、LGBT以外の人にとっても優しい会社だと判断される時代なんです」

ただでさえ人間の絶対数が少なく、それでいて優秀な人材を獲得しようとしているのに、「LGBTである」という理由で排除するのは、すこぶるナンセンスに感じてしまう。

後編では、来春入社予定を決めた当の“優秀な人材”に、建設業界の就職活動の実情と、就職を決めた理由に迫ってみたい。(つづく)

 
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「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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