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【建設×ダイバーシティ】モデル・建築家のサリー楓さんに訊くLGBT就活の実情【後編】

【建設×ダイバーシティ】モデル・建築家のサリー楓さんに訊くLGBT就活の実情【後編】

日建設計内定を決めた気鋭の建築家

サリー楓(畑島 楓)さんは、「ファッションモデル」と「建築・空間戦略の研究者」という異色の肩書きを持つトランスジェンダーだ。建築学科卒業後、国内外の建築事務所を経験ののち、慶應義塾大学大学院在学中の2017年に、社会的な性別を「男性」から「女性」に変えた。現在は講演活動のほか、テレビやラジオなど数多くのメディアで活躍している。

彼女は、来春から建築設計監理分野で国内トップシェアの日建設計で働くことが決まっている。いわゆる“新卒”として。

これまでいくつもの賞を獲得し、建築士としての才能は折り紙つき。SNSなどで個人としての発信も積極的に行っている。気鋭の建築家であり、「いま最も注目されるトランスジェンダー」(by 星さん)といえる。そんなさんはこの1年ほど、インターンや就職活動を行ってきた。その感想は、いかに。

「私が受けたのは、日建設計と、アメリカ最大手の設計会社です。どちらもインターンをしましたが、両方とも居心地がよかったし、会社規模としても日建設計は世界一の設計会社で、アメリカの設計事務所は世界2番目。完全にフェアな選択肢でした。自分は商業施設が好きなんですけれど、その商業施設も扱えると言われましたし。いずれもリベラルな会社でした。日建も新しいことに挑戦するのが好きな社風なんです」

採用の際に、トランスジェンダーであることは問題なかったのだろうか?

「別にLGBTだから採ったというわけでもないようです。そこは気にしないぐらい。むしろシビアな採用で、性別とか気にしてられない、と」

性差や性自認より何よりも、才能を優先した採用活動の結果、ということらしい。

建設業界の壁の高さを肌で知る

前編において星さんは、「建設業界の動きは鈍い」と話していた。建設業界の全体がそうなのか。さんは大学の建築学科にいる頃には、LGBTであることに対するネガティブな反応はなかったのだろうか。

「建築学科の中でも意匠系にいたんですが、意匠系は先生も学生も、みな常日頃から多様な文化や価値観に触れているんです。だから吸収力も高いし理解力もある。それに対して自分の意見も持っている。LGBTについても『建築をやっていくのに関係ないし、いいんじゃない』ぐらいの感覚でした」

LGBTに対する否定的な対応が大学において存在しないならば、企業側はどうなのだろうか。具体的に言えば、日建設計以外の企業はどんな反応だったのか。実体験を持つ畑島さんに訊いてみた。

「社風によります。私は受ける企業を絞っていて、『ここは(LGBTに対する対応が)大丈夫だろうな』という企業を受けていて、それは先ほどの2社で、いずれも内定をいただきました。逆に『ここはたぶんダメだろうな』という企業は選考に参加しませんでした。ゼネコンさんですね」

ゼネコンの中には、ダイバーシティに対する積極的な取り組みをアピールする企業もある。しかし、複数社のインターンに参加した畑島さんは、「全社への徹底はまだできていないんでしょうね」とその印象を語る。どういうことだろう。

たしかに社内の雰囲気もよく、いい会社だと感じた。「トランスジェンダーで問題なく働けるかどうか」「LGBTへの理解は進んでいるか」と質問した際には、「人事担当者の自分としてはいいと思う」「社内で研修はあり、理解は進んでいる」という返答が返ってきた。しかし、次に続く言葉が、畑島さんを落胆させた。

「『当社としてはいいが、取引先の会社がいいと言うかは分からない』とか、『自分はいいと思うけれど、幹部がOKを出すかは分からない』と言われたんです。その場にいない、反対するかもしれない第三者を引き合いに出すのはずるい。そうなると、こちらはなんとも言えないんですよね。『機動力に欠けそうだな』と思って、選考は辞退しました」

ある企業では、新卒社員は全員寮に入らねばならない決まりのため、「あなたは男子寮には入れさせられないし、女子寮にも入れさせられない。LGBTの人に対応した前例もなく、男子寮・女子寮以外に配慮する予算も割けない」と言われたそうだ。

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「建設の匠」編集部
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「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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