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【みんなで考えるオープンデスク】フリーランチ代表 納見健悟さんは「労働法で考えれば未来は開ける」と提案する

【みんなで考えるオープンデスク】フリーランチ代表 納見健悟さんは「労働法で考えれば未来は開ける」と提案する

厚意にもとづく教育活動の一環なのか、やりがいの搾取的な無償労働なのか。そのグレーさが問題視されるオープンデスク(建築設計界隈のインターンシップ)。建築設計事務所の未来を占う上で、この制度について真剣に考えてみたい。

オープンデスク問題の根底にあるものとは

その話題ならば、ということで日本橋は小伝馬町で話を聞かせてくれたのはこちらの方。

フリーランチ代表の納見健悟さん。マーケティングもライターもこなしちゃうスゴイ人

建築設計事務所の経営と働き方のコンサルティングをするフリーランチ代表取締役の納見健悟さんは、事業の根底には、報酬が低い、長時間の労働、働いても報われない――そのようなものが「業界あるある」として存在する、という。

「とはいっても業界のみなさんは、そこに対して諦めちゃっているというか、『まあ、もうしょうがないよね」みたいな話になっているんですけれど』」と苦笑する。かつて設計事務所で働いていた経験も持つ彼は、その実情をよく知っている。

そこで建築設計事務所の経営マーケティング顧問というかたちで、経営改善やマーケティングを使った集客などの手伝いをしている。納見さんいわく「売上を上げるという話と人材採用や労働環境の改善の話は、近しいところにあります」。それはどういうことです?

納見さんは、建築設計事務所や工務店では多くの人が「ものづくりやデザインが好き」という理由で働いているが、それは「『お客さん目線に立った本当にいいものとはなにか』と考えるのではなくプロダクトアウト寄りでは」と指摘する。

「『いいものをつくっていれば売れるのではないか』という思考です。顧客に価値を認識してもらった上で適切な見積・業務単価を設定できていません。設計や施工などの目先の仕事を頑張っても、結果的に利益を出せるだけの売上が足りていないのが現状です。

たとえば1~2名で経営している建築設計事務所だと、500万~1,000万ぐらいの売上でまわしているケースが多い。その売上から設備設計や構造設計の外注費で2~3割を持っていかれるので、手元に残るのは数百万円。そこから社員の給料が出るような感じです」

さらに、建築における設計料は、国土交通省が基準となる単価を定めている。納見さんによれば、大手の設計事務所では、直接経費や間接経費、あるいは「技術料」などというかたちで乗せて、単価の2~4倍程度の見積もりを出しているそう。

それが小さな個人事務所だと、そのような情報が共有されず、国交省単価のままで仕事を請け負っていることもあるんだとか。そこまでいくと、財政的に建築学生をアルバイトとして雇うことは難しそうだ。

「そもそも『建築設計が仕事としてちゃんと成り立つには?』ということに関する教育を受けられていなかったり、小さい事務所で独立のために働いているのだけれど売上情報が分からなかったり、お客さんに出している見積書の内容が分からず、自分がどういう根拠で働いているかが分からなかったり……デザインの提案方法は学んでいても、それをどうやって、どんな値段でお客さんに提示すればいいのか、未来のお客さんを開拓すればいいのかが分からなければ、独立しても、のちのち苦況に陥ります」

せっかく個人設計事務所で働いても、商売のイロハを学べなければ独立できない。納見さんによれば、以前はそんなことはなかったという。なぜなら、自分が拠点を構えている商圏には地元ならではのネットワークがあり、あるいは地元メディアを介して仕事が集まってくる状態だったからだ。顧客側にも、いま住んでいるところから離れた建築設計事務所や工務店に発注する感覚もなかった。しかしインターネットの台頭と同時に、比較検討されるような時代になってきた。仕事が以前よりも得られにくくなり、仕事の獲り方もまた変わったのだ。

そこで納見さんは、見積もりのつくりかたなどをアドバイスしているという。「それだけでも、経営改善するんですよね」って……本当に?

「ええ、設計の場合だと『基本構想・基本計画』『基本設計』『実施設計』などフェーズを分割して、それぞれで報酬をもらうようにしたりする。あるいは、住宅とビルの設計単価をきちんと別の料金体系にするとか。わたしたちも契約書を含め、リスクに応じた見積もりのつくりかたのお手伝いをしています」

個人設計事務所にとって、フリーランチは心強い味方なのである。

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「建設の匠」編集部
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「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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