東京都庁舎コレクション【夜景】

戦後を代表する建築家・丹下健三が設計した東京都庁舎。丹下健三は、コンペ案提出にあたり、フランス・パリのノートルダム大聖堂双塔をモチーフにしたという。その甲斐あって、1991年に竣工してから30年近く経過しているにもかかわらず、「巨大ロボットに変形しそう」とささやかれるほどの威容さと斬新さを保っている。ちなみにコンペの際に、丹下の弟子であった磯崎 新が提出した「低層都庁」案もまた魅力的である。コンペには敗れたものの、磯崎案が実現していたら、新宿の景色はいまとまったく違うものになっただろう。
庁舎内に目を向ければ、集積回路がモチーフとなった天井やエレベーターの照明が目を奪う。情報化時代の先端性を表現しようとした胸ときめく意匠である。さすがに設備機器の老朽化は否めず、2012年4月から2021年33年3月まで、両本庁舎の設備更新工事を行っているところだとか。
都庁舎と一口に言っても、その規模は第一本庁舎(写真、地上48階・地下3階)と第二本庁舎(地上34階・地下3階)、さらに都議会議事堂と約300平方メートルの都民広場から構成される巨大構造物で、日中はのべ1万人もの職員等が働いている。第一本庁舎は高さ約243mで、45階の北と南が展望台になっている。展望台から望める「新宿パークタワー」(パークハイアット東京)も丹下健三の設計によるものである。
超高層ビルの建造にあたり、多数の柱を用いず、巨大な柱や梁を用いて建物を支えるスーパーストラクチャー方式を採用。計8本のスーパー柱と10階ごとのスーパー梁で、立体スーパーストラクチャーを構成している。
ビルの高さとしては、いまや日本で9番目となってしまったが、その価値はまったく衰えていない。これからも西新宿のシンボリックな存在として燦然と輝き続けることだろう。
- 所在地
- 東京都新宿区西新宿宿二丁目8番1号
- カテゴリ
- 高層ビル
- 用途
- オフィス / 教育施設
- 階数
- 第一本庁舎(地上48階・地下3階)、第二本庁舎(地上34階・地下3階)
- エレベーター数
- 75基(第一本庁舎42基、第二本庁舎33基)
- 敷地面積
- 42,941.10㎡(うち第一本庁舎:14,350㎡、第二本庁舎:14,030㎡)
- 延床面積
- 27,487.30㎡(うち第一本庁舎:195,567㎡、第二本庁舎:139,950㎡)
- 建築面積
- 27,487.30㎡
- 着工年月
- 1988年4月
- 竣工年月
- 1990年12月
- 発注者(事業主)
- 東京都財務局
- 設計者
- 丹下都市建築設計
- 構造設計者
- ムトーアソシエイツ
- 設備設計者
- 建築設備設計研究所
- 施工者
- 第一本庁舎:大成建設など12社JV / 第二本庁舎:鹿島建設など10社JV
- 構造
- 鉄骨構造
- 構造形式
- 2階以上S造 / 1階以下SRC造 / 直接基礎RC造
- 規模
- 第一本庁舎:地上48階・地下3階,第二本庁舎:地上34階・地下3階
- 高さ
- 第一本庁舎:243.4m,第二本庁舎:163.3m
- 工法
- スーパーストラクチャー工法
- 建材
- 普通コンクリート / 軽量コンクリート

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