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タテコレ
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  • 近代的な汐留高層ビル群と首都高を挟んだ向かい側に、”メタボリズム”の象徴は建つ。
  • エレベーターや階段が備わる2本の塔に、カプセルが固定されている。まるでぶどうの房のよう。
  • カプセルはすべて区分所有されている。もちろん、外壁もカプセルの一部なので区分所有だ。
  • カプセルタワー玄関表示は一部欠落し、「プ」は「フ」に、「ビ」は「ヒ」になっている。それもまた一興。
  • 北浦和公園におかれた巨大なドラム型洗濯乾燥機……ではなく、カプセルの一部。
  • カプセル内部。ホワイト×ブルーのシンプルな内装が美しい。
  • 幅:208.1㎝、奥行:418.1㎝、高さ:278㎝のカプセルを玄関から覗いたところ。黒川紀章は円形の窓を好んだ。

中銀カプセルタワービル・コレクション【ザ・メタボリズム】

築46年、地上13階・11階建てで140戸(すべてワンルーム)。

銀座には歩いて10分程度だけれど、部屋の広さはわずか10㎡。

それでも、たまに出てくる賃貸物件はだいたい7万円前後――。

条件だけ見ればお世辞にも良物件とはいいがたい。しかし、ある意味で銀座でもっとも有名なマンションであり、全国の建築好きを惹きつけてやまないマンション。それが、中銀カプセルタワーだ。ちなみに「中銀」は、「ちゅうぎん」ではなく「なかぎん」と読む。しかしその意味は「中央区銀座」なので少しややこしい。

中銀カプセルタワーを設計したのは黒川紀章。1960年にメタボリズム(“新陳代謝”の意味から転じて、人口増加&技術発展に応じて更新される都市の成長を説く建築運動)を提唱した建築家である。カプセルタワーは彼の理論をきわめてシンボリックにあらわしたもので、基礎構造はそのままに、カプセルは一つひとつが取り外し交換できて、25年ごとにカプセルが交換される想定だった。もっとも、実際のところ、カプセルが交換されることは一度もなかったのだが……。

これまで施設の老朽化やアスベスト問題によって何度か解体・取り壊しの危機に瀕しており、2018年6月には中銀グループから所有者が変わった。ふたたび解体と再開発の話が持ち上がったが、国内外の熱烈なファンたちに支えられ、現在、保存・再生に向けて署名活動などの取り組みがなされている。

40年以上が経過して、竣工時に備え付けられた設備の維持は難しくなっており、居住者によってリフォームされたカプセルも多い。しかしオリジナルの部屋を見ることも可能だ。

たとえばさいたま市・北浦和公園の一角に、同ビル1階の展示物で、美術館展示を経て2012年に埼玉県立近代美術館(黒川紀章設計)に寄贈されたカプセルの一室が、ころんと置かれている。このドラム式洗濯機のようなカプセルは、竣工時の雰囲気がきれいに保たれている。

また現在、「中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト」により、当時の趣を残す部屋を見学できるツアーが実施されている。土日の昼頃、50分程度の見学が可能だとか(参加費は3000円)。

いずれにおいても、2018年のいま、丸い窓越しに覗く1972年時点の“近未来的景色”は、あなたの心をゆさぶるはずだ。

稀代の個性派マンション、見ておくならいまのうちかもしれない。

SPOT INFORMATION
中銀カプセルタワービル

所在地
東京都中央区銀座8丁目16−10 
用途
住宅・マンション
階数
13階、11階
戸数
140戸
敷地面積
441.89m²
延床面積
3,091.23m²
建築面積
429.51m²
着工年月
1970年
竣工年月
1972年4月
関連企業
発注者(事業主)
中銀マンシオン株式会社
設計者
黒川紀章建築都市設計事務所
構造設計者
松井源吾+ORS事務所
施工者
大成建設株式会社
技術・工法
構造
鉄骨鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造
規模
地上11階・13階、地下1階
建材
外板:ボンデ鋼板1.2 防錆塗料焼付け・ケニテックス吹付け
35.665640,139.763447
WRITER
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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