建設の匠
メニュー
メニュー閉じる
タテコレ
1/10
  • 伊東忠太による堂々とした本堂。まるでパルテノン神殿のようだ。
  • 本堂外観。インド風かイスラム風か、いずれにしても、とても日本の仏教寺院とは思えない。
  • 本堂内には香炉を模したシャンデリアがある。
  • パイプオルガンのある寺院は全国でもめずらしい。毎月最終金曜日のランチタイムには無料コンサートが行われている。

【タテコレ】築地本願寺 本堂コレクション【初詣】

すったもんだの末に、世界最大規模を誇った東京都中央卸売市場(築地市場)が豊洲へと移転した。築地の街にぽっかりと穴が空いたようで、なんだか寂しくなったように感じる向きもあるだろう。むろん、そんなことはない。築地では場外市場が変わらず元気に営業しているし、なにより、築地には国の重要文化財に指定された名建築・築地本願寺本堂があるのだから――。

築地本願寺は、浄土真宗本願寺派の関東拠点である。2012年までは「本願寺築地別院」が正式名称だった。“お西さん”と呼び親しまれている京都・西本願寺の建物を思い浮かべて築地本願寺に行くと、まったく様相の異なる本堂を目の当たりにしてびっくりするかもしれない。

関東大震災で焼失した本堂の代わりとしてこの建築物を設計したのは、東京帝国大学名誉教授で建築史家である伊東忠太だ。伊東はインドの建築様式を独自の解釈で採り入れ、随所にエキゾチックなスパイスを散りばめた。

はたして、出来上がった本堂の外観は、古代インド・イスラム仏教風。近年改修された内部に入れば、伝統的な浄土真宗寺院の本堂形式に則ってはいるのだが、それでも阿弥陀如来立像と色鮮やかなステンドグラスから差し込む光、重厚なパイプオルガンの音色のコラボレーションに、自分はいま、どんな場所のどんな建物の中にいるのか分からなくなりそうになる。

創建400年を迎えた2017年には、境内整備ならびに建物除却・新築・改修等の工事を開始。建設時の施工者である社寺建築のエキスパート・松井建設(建設時は松井組)が工事を担い、カフェやブックセンター併設のインフォメーションセンター・合同墓が完成した。そのコンセプトは「開かれたお寺」だそうだ。

ちなみに“築地”の地名は、江戸時代の大火事で焼失した坊舎再建のため、門徒が海を埋め立てて土「地を築」いたことに由来するのだという。なるほど、「築地=築地市場」ではなく、築地は築地本願寺あっての土地なのだ。それをみずからが一番よく知っていると言わんばかりに、本堂はどっしりと構えて築地界隈を見守っている。

SPOT INFORMATION
築地本願寺

所在地
東京都中央区築地3丁目15−1
用途
文化・研究施設 / 伝統建築
階数
地上2階・一部地下1階
文化財指定日
2014年12月10日
建築面積
3,149.40㎡
竣工年月
1934年
関連企業
発注者(事業主)
西本願寺
設計者
伊東忠太
施工者
松井組(現・松井建設株式会社)
技術・工法
構造
鉄筋コンクリート造・一部鉄筋鉄骨コンクリート造
35.666675,139.769210
WRITER
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。建設シロウトですがよろしくお願いします。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
建設転職ナビ