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タテコレ
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  • 正面中央玄関部にある小さな八角形の塔屋が特徴的。
  • 2階建てゴシック風の工芸館は両翼部の張り出しが迫力だ。「威風堂々」という言葉がふさわしい。
  • 五芒星は旧日本陸軍施設の証。
  • 当時の面影が残る階段付近。なんとも優雅な空間だ。
  • 中央階段付近を下から見たところ。軍の施設とは思えない。
  • この景色で、陸軍将校たちはどんな会話を交わしたのだろうか。
  • 陸軍少将や近衛師団長として軍を率いた北白川宮能久親王像も同じ敷地内にある。

東京国立近代美術館工芸館コレクション【旧近衛師団司令部庁舎の行く末は?】

東京都千代田区北の丸にある東京国立近代美術館。本館と工芸館で構成されている。今回ご紹介するのは、赤レンガ造の「工芸館」のほうだ。1910年築の古風な見た目のため、こちらのほうが「本館」では、と思ってしまうかもしれない。

そもそも日本初の国立美術館として、「東京国立近代美術館」が最初に生を受けたのは中央区京橋。その後、規模の拡大に伴って、1969年に北の丸に現在の本館が建てられて移転した。その際、同じ北の丸公園内に赤レンガ造の建物があった。それが陸軍技師・田村 鎮設計による旧近衛師団司令部庁舎だ。

関東大震災や太平洋戦争を乗り越えた旧近衛師団司令部庁舎だったが、1963年以降は空き家で荒廃するがまま放置されていた。一度は取り壊しが決まったが、貴重な明治建築を惜しむ声が挙がり、「工芸館」としての活用が決まったのである。1972年に外壁、玄関と階段ホール部分が重要文化財に指定され、改修工事を経て5年後に工芸館はオープンした。

美術館として再生するための改修工事で、建物内側に鉄筋コンクリートの躯体が設けられた。レンガの壁はコンクリート躯体の外皮的な扱いとなった。また屋根は、桟瓦葺きから竣工当初のスレート葺きに復元された。つまり、当時の姿を残しているのは中央階段まわりとホールの部分のみである。ちなみに東側に設置された和室や展示室は、東京国立近代美術館本館を手がけた谷口吉郎によって設計されたものだ。

さて、この工芸館の機能が、2020年には石川県へお嫁に出されるというのはご存知だろうか。文化庁などと同様の「政府関係機関移転基本方針」に基づいた施策の一環だ。受け入れ先もまた旧陸軍の施設で、第九師団司令部庁舎と金沢偕行社を移築・活用して整備するのだという。

現工芸館が所蔵する美術工芸作品のうち約1,900点(美術工芸作品の約70%)以上を移転し、その移転先施設の正式名称は石川県にあるにもかかわらず「東京国立近代美術館工芸館」(通称:国立工芸館)になるそうだ。

……では、この元近衛師団司令部庁舎は? 現時点では「現工芸館については、新たな名称とする」とされている以外の情報はない。数奇な運命をたどったこの建築物がいったいどうなるのか、今後の動向に注目したい。

SPOT INFORMATION
東京国立近代美術館工芸館

所在地
千代田区北の丸公園1-1
カテゴリ
高層ビル
用途
文化・研究施設 / 伝統建築
旧用途
近衛師団司令部庁舎
階数
地上2階
改築
1977年
文化財指定日
1972年10月2日
敷地面積
4,512.72㎡
延床面積
1,858㎡
建築面積
929㎡
竣工年月
1910年3月
関連企業
設計者
田村 鎭
構造設計者
谷口吉郎
35.689694,139.750396
WRITER
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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