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タテコレ
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  • 西池袋にある異空間、それが自由学園だ。
  • 窓部は木製の窓枠や桟を巧妙に配することでステンドグラスの代わりとしたそう。
  • 当時の学校としては珍しい食堂。天井の高さと吊り下げられた照明の絶妙なバランスたるや。
  • 自由学園最初の入学式が行われたという記念室。六角形の背もたれの椅子が特徴的だ。
  • 入口の天井の低さにはワケがある。
  • 遠藤 新の設計による講堂は1927年竣工。1989年に大規模な改修工事が施された。

自由学園明日館コレクション【名建築保存のモデルケース】

元号で言えば、令和の前の前の、もうひとつ前の話である。アメリカの名建築家フランク・ロイド・ライトとその弟子である遠藤 新は、教育者である羽仁吉一・もと子夫妻に共鳴し、1921年、学校法人自由学園の校舎を設計した。これが、いまも東京・西池袋に残る自由学園明日館(みょうにちかん)だ。

平等院鳳凰堂の影響を受けたといわれる左右対称な姿。外から見ると、「案外小さいんだな」と思わされるのは、建物の高さを抑えたライトお得意のプレーリースタイル(草原方式)だからだろう。入ってみれば低い天井に「やっぱり小さ……」と油断していると、ホールでは一気に視界が開け、あっと驚かされる。まったく、心憎い演出をするものだぜライトさん。

さて、大正期の建物が老朽化するのは当然のことである。とりわけ屋根のダメージが大きく、一時期は「屋内で傘が必要」と言われるほどだったらしい。十数年にもわたる保存 or 活用論争の末、平成期に入って1993年、日本建築学会が「保存に関する要望書」を学園に提出。その4年後には国指定の重要文化財となった。1999年には大成建設の手によって、保存改修工事がはじまった。保存のための国家補助事業として半解体修理を行ったため、部材は建物の維持において支障のないかぎり再使用したのだとか。

耐震性を増したおかげで2011年の東日本大震災にもビクともせず、重要文化財を使用しながら保存する「動態保存」のモデルケースとされる自由学園明日館。いまも結婚式場や撮影会などで年間1,000件以上使用されている。こうしていまも愛される自由学園明日館はつくづく幸せだと思いながら、解体の危機に瀕する各地の名建築にも、この幸せを分けてあげられないものか、とも思う。

SPOT INFORMATION
自由学園明日館

所在地
東京都豊島区西池袋2丁目31−3
カテゴリ
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旧用途
学校
階数
地上2階・一部地上3階
改築
2001年9月
文化財指定日
1997年5月29日
敷地面積
2820㎡
延床面積
834㎡(中央棟)
建築面積
592㎡(中央棟)
着工年月
1921年
竣工年月
1922年
関連企業
発注者(事業主)
学校法人自由学園
設計者
フランク・ロイド・ライト / 遠藤 新
施工者
大成建設株式会社(改修時)
東京都豊島区西池袋2丁目31−3
WRITER
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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