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萩原雅紀の「ダム」道。【01】私はこうしてダムにはまりました

萩原雅紀の「ダム」道。【01】私はこうしてダムにはまりました

ダム、好きですか?

ダムっていいよね。
と言っても、このサイトをご覧になっている方の中で実際にダムを見たことがある方がどのくらいいるだろう。建設関係に従事されている方向けとのことなので、実際にダム工事に携わった方もいらっしゃるかも知れないけれど、とにかく、「ダムが好き」だなんて物言い、ほんの10年ほど前までは「ちょっと何言ってるか分からないです」的な反応をされることも多かったのだ。でも近ごろはそんなこともほとんどなくなった、と思う。まだちょっと自信ないけど。

黒部ダムは昔から定番の観光スポットだが

およそ20年前、偶然たどり着いたダムを見て以来その魅力にとり憑かれ、私はこれまでに国内外合わせて500ヶ所以上のダムを見てまわってきた。自分で見るだけでは飽き足らず、ダムを紹介するホームページを作成するところから始まり、その後はダム見学ツアーをプロデュースしたり、写真集やDVDなどを作成したり、トークイベントを開催するなどして、ダムの魅力や役割を多くの人に知ってもらいたいと思い活動している。

最近は「ダムライター/ダム写真家」を名乗り、雑誌やWebメディアなどに記事を書いたり、活躍したダムを讃える「日本ダムアワード」というイベントを主宰したりしている。インフラ施設がPRを活発化させるきっかけとなった「ダムカード」の発案、発行までのプロセスに関わったりもした。自分で書いてても、ちょっと何やってんだと思う。

ダムカード集めてる人手を挙げてください

そんな私が、当サイトでダムにまつわる記事を書かせてもらえることになった。今回は初回ということで、自己紹介を兼ねて、私がダムに出会ってダムに目覚めるきっかけを思い出しつつ、振り返ってみたいと思う。

人生を変えた「運命の出会い」

子供の頃から家族のドライブでダムに立ち寄ることはあったけれど、その魅力に目覚める出会いがあったのは1999年頃。車の免許を取り、あてもなくドライブをしていたところ、とつぜん通行止めに行き当たった。道を塞ぐバリケードには「ダム建設工事のため」と書かれていた。ダム工事って見たことがない、どんな風に作られているのか、と思ったけれど、そこから現場はまだ遠く、建設中のダム本体を見ることはできなかった。

自宅から1、2時間で行ける場所なのに、こんな身近でダムを造っている、という情報すら当時は知らなかったのだ。それがなぜか気になって、その後も何度か同じ場所に足を運んだけれど道は通行止めのまま、工事中の看板を前に引き返す日々が続いた。いま思えば工期とか書いてあったはずだけど、それに気づくほど知識も興味も強くなかったのかも知れない。

ダム工事で道が通行止め(当時とは違う場所です)

1年ほど経ったある日。もはや見慣れた通行止めの場所に行ってみると、何度もその前で引き返したバリケードは無くなっていて、道が先に続いていた。車で少し進むと真新しい駐車場ができていて、そこから遊歩道が伸びていた。車を停め、遊歩道をしばらく進んだとき、目の前に現れた光景に息を呑んだ。見たこともないような途方もなく巨大なコンクリートの壁が立ちはだかっていたのだ。

完成したばかりの宮ヶ瀬ダム(2002年)。最初に目に入った瞬間、悪の要塞だ、と思った

目の前にそびえ立つのは、国土交通省が神奈川県の相模川水系中津川に完成させた宮ヶ瀬ダム。高さ156mは(当時)国内で五本の指に入る超巨大ダムで、思いがけずそんなダムを真下から見上げてしまったのだ。

「ちょっと、これは、すごいぞ……」

念願のダムと対面を果たしたけれど、経験値が足りない状態でラスボスに出会ってしまったように、感動ではなく混乱、興奮というより緊張、そして圧倒的な敗北感を覚えた。余裕のない心境で思わず口から漏れた言葉は、いまでもはっきり覚えている。

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WRITER
萩原 雅紀
萩原 雅紀
ダムライター、ダム写真家。1974年東京生まれ。ダムと名のつくものすべてを対象に、ライフワークとして「ダムめぐり」を続けている。これまで訪れたダムは国内外合わせて500基以上。毎年末に「日本ダムアワード」を主宰。ダムカードの発案にも携わる。著書に『ダム』『ダム2』(メディアファクトリー)、『ダムに行こう!』(学研プラス)等。
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