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萩原雅紀の「ダム」道。【02】ダムの魅力を本気出して分類してみた

萩原雅紀の「ダム」道。【02】ダムの魅力を本気出して分類してみた

山あいにそびえ立つ壁!ダムの非日常感

もうひとつの魅力として、そんな巨大建造物が谷間に忽然と姿を表す非日常感、というものがある。ダムが造られている場所はたいていが山深い場所で、周囲は木や土、岩、水といった自然素材に囲まれている(回りくどい言い方の理由を説明すると、山が植林だったり周囲が農地だったり、手つかずの『自然』とは限らないから)。そんな場所にそびえ立つ圧倒的なボリュームの人工物、しかもそれがとてつもない量の水を貯め込んでいる、という非日常感は何度味わってもどきどきしてしまう。

深い山の中に屹立する真っ白い壁(深城ダム/山梨県)

これはもともと人工物が好きかどうか、自然の中の人工物を許せるかどうかで意見が分かれると思う。私は物心ついたときから住宅地を流れるコンクリート三面張りの川を見て育ったせいか、そういった景色も「自然」に受け入れ、美しさを見出してしまう。もちろん森の中を流れるせせらぎも美しいと思うし好きだけど、「自然+人工物」という組み合わせにも強い魅力を感じてしまうのだ。

同じ形はふたつとない!ダムの型式

こうして「非日常感」を追い求めてあちらこちらのダムを見に行くと、いつの間にか気づくことがある。ダムの形が一つひとつ違うのだ。いかにも人工、というコンクリートの直線的な造形の堤体もあれば、同じコンクリートでも有機的な曲線で構成された堤体もある。コンクリートではなく、ピラミッドのように岩を積み上げた外観の堤体もある。

岩を積み上げて造られたダムもある(殿ダム/鳥取県)

堤体の役割は、水を貯めたときの水圧をいかにして支えるか、という点に尽きるけれど、地形や地質は建設する地点によって異なるため、それに合わせたいくつかの型式が存在する。

大きく分けるとコンクリートで壁を造る「コンクリートダム」、土や岩を積み上げて山を造る「フィルダム」の2種類で、それぞれの型式の中にいくつかのバリエーションが存在する。細かい説明は次回以降に譲るけれど、ダムを建設するときは、さまざまな条件を考慮して、建設地点においてもっとも安全かつ経済的な型式の堤体が造られる、ということは頭の片隅に入れておいてほしい。
また、型式のほかに堤体の外観を飾る要素として見逃せないのが放流設備である。水を貯めるだけでなく、必要に応じて適切な量を下流に流す必要があるため、目的や流量、そして地形に応じた何種類かの放流設備が存在する。そして、同じく目的や流量、そして地形に応じて適切な位置に設置された放流設備は、型式とともに堤体の個性を決める重要な要素となっている。
地形や地質、そして川の流量に至るまでまったく同じ場所はないから、さまざまな型式や放流設備を組み合わせて造られるダムにもふたつと同じ形がないのだ。

目的別の放流設備を何種類か装備(大町ダム/長野県)

放流設備は1種類だがジャンプ台になっている(上椎葉ダム/宮崎県)

 
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WRITER
萩原 雅紀
萩原 雅紀
ダムライター、ダム写真家。1974年東京生まれ。ダムと名のつくものすべてを対象に、ライフワークとして「ダムめぐり」を続けている。これまで訪れたダムは国内外合わせて500基以上。毎年末に「日本ダムアワード」を主宰。ダムカードの発案にも携わる。著書に『ダム』『ダム2』(メディアファクトリー)、『ダムに行こう!』(学研プラス)等。
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