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萩原雅紀の「ダム」道。【04】バージョンアップで復活!不死鳥のダムたち

萩原雅紀の「ダム」道。【04】バージョンアップで復活!不死鳥のダムたち

後世のために新しいダムの身代わりで水没!

4つ目の方法もダム本体の巨大化なのだけど、ロックフィルダムのように構造的に継ぎ足しが難しかったり、地形的に無理だったり、新旧ダムの大きさが違いすぎて非効率だったりすることもある。

そんな場合は現在ある堤体の下流側に巨大ダムを造り、古いダムを新しいダムの貯水池に沈めてしまうのだ。「ターミネーター2」のラストシーンを思い出させる、なかなかドラマチックな手法だけど、実は直接のかさ上げよりもこの方法の方が事例が多いと思う。

最近だと、大夕張ダムが沈んだ夕張シューパロダム(+43.1m)、石淵ダムが沈んだ胆沢ダム(+79m)、菅野ダムが沈んだ長井ダム(+81m)など、北海道や東北で事例が多い。

建設中の夕張シューパロダム天端から見た大夕張ダム。建設前に単体で見たときは大きいダムだと思ったけど、ここから見るとこんなに小さかったっけ、と感じてしまう

大夕張ダムから見た建設中の夕張シューパロダム。目の前に自分より高いダムが造られていくときの心境はどんなだろう

石淵ダムの下流の方に胆沢ダム堤体が見える

ありし日の石淵ダム。日本で最初に造られたロックフィルダムだった

完成直後の胆沢ダム

そして今後行われるものでは、岐阜県の丸山ダムの直下に建設される新丸山ダム(+24.5m)の工事がまもなく始まろうとしている。

目の前に新丸山ダムが建設される丸山ダム。古き良き堤体が見られるのもあとわずかだ

ダムはいちど造られたらそのまま、と思っている人も多いと思う。でもさまざまな目的のダムがさまざまな敵と日々戦い、必要であればバージョンアップをしている。それはすべて私たちの安全な暮らしのためなのだ。


誕生してから生涯を終えるまで、常に自然に寄り添い、ときに荒れ狂う自然と対峙するダム。自然の中で人間が安全に暮らせるように、その身を捧げて人と自然の間を必死に取りなすダムは、ただ静かに佇んでいるように見えて、その背中に背負うものは重く、その目は常に未来を見据えている。どこが背中でどこが目かはともかく。

 
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WRITER
萩原 雅紀
萩原 雅紀
ダムライター、ダム写真家。1974年東京生まれ。ダムと名のつくものすべてを対象に、ライフワークとして「ダムめぐり」を続けている。これまで訪れたダムは国内外合わせて500基以上。毎年末に「日本ダムアワード」を主宰。ダムカードの発案にも携わる。著書に『ダム』『ダム2』(メディアファクトリー)、『ダムに行こう!』(学研プラス)等。
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