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萩原雅紀の「ダム」道。【07】GWはダム界の“細マッチョイケメン” アーチダムに会いに行こう

萩原雅紀の「ダム」道。【07】GWはダム界の“細マッチョイケメン” アーチダムに会いに行こう

黒部ダムはアーチダム界の絶対エース

日本のアーチダムの始祖である上椎葉ダムが完成した翌年、関西電力は早くも頂点に手をかける。人跡未踏の黒部峡谷に日本最大の発電用ダム、黒部ダムを計画したのだ。堤高186メートルは型式を問わず日本一で、建設された背景や難工事はテレビや映画などであまりにも有名。そして、知名度だけでなく立地、成り立ち、存在感のどれを取ってもここは「別格」のオーラが漂う。

国内外合わせて600基のダムを見てきたがそれでもここは別格

日本でも有数の山岳観光地である「立山黒部アルペンルート」の一部となっていて、毎年100万人近い観光客で賑わう。初夏から秋まで行われている大迫力の観光放流も大きな見どころだ。

思わず旅行ガイドのような文章になってしまったけれど、ここは数少ない「ダム好きでなくても間違いなく雄大さに心打たれるダム」である。もちろんダム好きであれば確実にその迫力に圧倒される。ぜひ皆様お誘い合わせのうえ訪問してほしい。

コンクリートと金属で作られた芸術作品の域だと思う

放流していない時期もあるけれど、それはそれで堤体の巨大さをじっくり味わえるのでダム好き的には二度おいしい。でもふつうの人には放流している時期の方がいいかな。

また、単なるアーチダムではなく、両岸の上部が岩盤に突き刺さる手前で直角に折れ曲がり、その外側が重力式ダムの構造となっているところもポイント。これは「ウイング」と呼ばれ、建設中にフランスで起こったアーチダムの決壊事故を受けて、安全性を高めるために設計変更されたもので、黒部ダムのシルエットを唯一無二のものとしている。この変更には、当時既に多数のアーチダム建造実績のある海外のダム技術者も関わった。つまり黒部ダムは、当時の世界のアーチダム技術を結集して造られた最先端堤体だったのだ。

上部の岩盤に不安がある→堤体を折り曲げて岩盤に接しない、という最先端ソリューション

というわけで、国内だけでなく海外にも誇れるダムだけど、それゆえ観光客が多すぎる(特に最近は外国人がものすごく多い)のと、マイカーで直接行けず、必ず電気バスなどに乗り換える必要があって交通費がかかる、という点は静かなダムをのんびり見たい人にとってはやや敷居が高いかもしれない。しかし、やっぱりあらゆる面で日本最高峰である。ぜひいちどは訪れてほしい。

 
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WRITER
萩原 雅紀
萩原 雅紀
ダムライター、ダム写真家。1974年東京生まれ。ダムと名のつくものすべてを対象に、ライフワークとして「ダムめぐり」を続けている。これまで訪れたダムは国内外合わせて500基以上。毎年末に「日本ダムアワード」を主宰。ダムカードの発案にも携わる。著書に『ダム』『ダム2』(メディアファクトリー)、『ダムに行こう!』(学研プラス)等。
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