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萩原雅紀の「ダム」道。【08特別版】平成を振り返るダム界10大ニュース!【後編】

萩原雅紀の「ダム」道。【08特別版】平成を振り返るダム界10大ニュース!【後編】

平成のダム史を振り返るべく、ダムライターの萩原さんが書いた渾身の超大作記事。はてさて、10大ニュースの残り5つは?(編集部)

前編はこちら

10大ニュース6・ダム便覧・DamMapsの登場

ダムの魅力に取り憑かれた人がちらほら出始めた頃、ダムのまとまった情報はまだ手に入りづらかった。名前、型式、スペック、位置情報などの一覧は(財)日本ダム協会が発行している「ダム年鑑」くらいでしか知ることができなかった。

しかし2万円と高額ということもあって簡単には手が出ず、ダムの情報を知るには専ら「地図で見つけて現地に観に行く」という方法がもっとも手っ取り早く確実だった。

しかし平成14年、ダム年鑑に収録されている情報の中から、ダム名、型式やスペックといった、一般のダムファンが必要な情報のみに特化してWeb上にデータベースとして移植した「ダム便覧」がスタート。これによって「ダム年鑑」を購入したり図書館で閲覧することなく、誰もがいつでも無料で日本中のダム情報にアクセスすることができるようになり、ダムのファン層拡大に大きな影響を及ぼした。

ダム便覧(画像をクリックするとサイトへ移動します)

また、そんなダム便覧のデータベースを使用して、GoogleMap上にダムの位置情報を表示した「DamMaps」が一般のダムファンの手によって平成17年に公開された。その使い勝手の良さでダムめぐりが目的の人はもとより、プロも使うようになったという。

DamMaps(画像をクリックするとサイトへ移動します)

ダムファン層の拡大に大きな役割を果たした「ダム便覧」と「DamMaps」は、いまではダムを知るための手がかりとして、完全になくてはならないものになっている。

10大ニュース7・ダムカードの登場、ダムカレーの全国展開

ダム鑑賞趣味が徐々に一般に広がっていく中で、平成19年にダムカードが登場。これが着火剤となり、一部のマニアだけではなく、ファミリーやツーリングのライダー、カードコレクターなど、ダムを訪れる人は爆発的に増加した。

ダムカードは、表に堤体の名前と写真、型式や目的など、裏面に細かいスペックや特徴などが記載されたトレーディングカード型のパンフレットで、無料で配布されている。基本的に全国でフォーマットが統一されているので、収集欲が掻き立てられるのだ。

ダムをお茶の間に広める決定打となったダムカード

ダムカード誕生のきっかけは、とあるダムマニア(というのは僕ですが)がトークライブで、ダムに行っても記念となるようなものがない、パンフレットはA4版が多く嵩張るうえ、ダムによってフォーマットがバラバラで集めたい欲がない、ダムについて疑問質問が湧いても管理事務所の敷居が高く質問できない、もっと多くの人にダムに来てほしい、などといった不満を解決するために「全国でフォーマットが統一されたカードを作り、ダムで職員さんが手渡し」すればすべて解決するのでは、と話したこと。

トークライブ終了後、客席にいた本職のダム職員さんから「詳しい話を聞きたい」と言われ、それがめぐりめぐって国土交通省のダム担当者の耳に入り、その数ヶ月後に「ダムカード」として全国の国土交通省、水資源機構の111ヶ所のダムで配布が始まった。

配布されるまでに、デザインや表記内容などについて国交省の担当者とダムファンとの間で何度かやり取りしたため、マニアから見ても文句のない内容のカードとなっていると思う。

ダムカードの効果か、ダムを訪れる人が増加したこともあって、自治体や電力会社なども続々とダムカード配布に参入。平成末期には全国700基近いダムで配布されている。また、ダムカードの人気にあやかって、さまざまなインフラ施設が同様のカードを作製するようになった。

しかし、ダムカードはさらに上を行く。今年、平成31年に天皇陛下御在位30年を記念して行われるさまざまな催しの中で、国土交通省はなんと「記念ダムカード」を発行したのだ。ちょっと何言ってるか分からないと思うが、安心してほしい。僕も同じだ。とにかく、造幣局が記念貨幣を発行するように、国土交通省は記念ダムカードを発行したのだ。何というか、ダム好きとして非常に誇らしい。ぜひ陛下(現在は上皇)にコンプリートセットを献上してほしい。

もうひとつ、ライスを堤体、ルーをダム湖に見立てた「ダムカレー」もダムのファン層拡大に大きな役割を果たしたひとつだ。

ダムカレーは、主にダム近隣のレストランなどで提供されている、ダム名を冠にしたカレーや、ライスを堤体に見立てたカレー、さらに堤体型のライスが丼などに密着し、貯水ならぬ「貯ルー」しているカレーなど、多彩なバリエーションが存在している。

こんなのぼりが街角に立つほど一般化してきたダムカレー

平成21年頃から各地で火がつきはじめ、地元の食材を使った副菜が添えられるなど、各店舗の腕の見せどころもある。最近はダムに行ったらダムカードをゲットしてダムカレーを食べてくる、というルーティーンもできあがり、ダムの地元では大いに盛り上がっているようだ。

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WRITER
萩原 雅紀
萩原 雅紀
ダムライター、ダム写真家。1974年東京生まれ。ダムと名のつくものすべてを対象に、ライフワークとして「ダムめぐり」を続けている。これまで訪れたダムは国内外合わせて500基以上。毎年末に「日本ダムアワード」を主宰。ダムカードの発案にも携わる。著書に『ダム』『ダム2』(メディアファクトリー)、『ダムに行こう!』(学研プラス)等。
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