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萩原雅紀の「ダム」道。【10】ダムの「中」には何がある?

萩原雅紀の「ダム」道。【10】ダムの「中」には何がある?

エレベーターが設置されている

しかし、どんな用事で上り下りするにしろ、階段は疲れるだろう。日本でダムと呼ばれるものは最低でも高さ15m以上と決められている。つまりいちばん小さくても5階建のビルと同じくらいの高さがある。ましてや100mを超えるようなダムなら30階建以上の高さだ。そこを階段で上り下りしていたら休憩ばかり増えて仕事にならない。
そこで、なんとダムにはエレベーターが設置されている。

これも、古いダムや小さなダムでは設置されていないところもあるけれど、たいていのダムにはさりげなくエレベーター塔が立っている。

扉の中にエレベーターが隠されている

よく見るとさりげなくもないエレベーター塔

何のために入れるのか

さて、では内部に階段やエレベーターや通路が通っているダムで、それらは何のために使われているのだろうか。

実は、ダムの中には異常がないか観測するさまざまなセンサーや、放流設備とそれらを駆動させる機械、コンピューターなどが入っているのだ。そして、各センサーや機械などは管理事務所とケーブルで結ばれ、逐一情報をモニターしたり操作したりできるようになっている。

監査廊の中は電源や通信系のケーブルが通っている(左のラックの中)

堤体を上から下まで貫くワイヤー!プラムライン

堤体から送られてくる情報の中で、重要なもののひとつがプラムラインがある。直訳すると「鉛直線」だけど、その言葉通り堤体の上から下まで細長い管を通し、その中に上部を固定して重りを吊るした細いワイヤーが通っている。また、逆に堤体が乗っている基礎岩盤に固定したワイヤーを上向きに伸ばし、液体に浮かせたフロートで引っ張る構造になっているものもあって、これは「リバースプラムライン」と呼ばれている。

プラムライン。上から細いワイヤーが伸びているのが分かるだろうか

リバースプラムライン。上のタンクの中に浮かんだフロートで下から伸びてきたワイヤーを引っ張っている

プラムラインが何のための施設かというと、堤体の動きを観測するものだ。
貯水池に水が貯まると、堤体には上流方向から下流方向へ大きな力がかかるけれど、貯水池の水位の増減でその力は大きく変わる。また、コンクリートダムでは暑い夏はコンクリートが熱せられて膨張したり、寒くなると収縮したりする。そういった変化で、実はダムの堤体は年間を通じて数ミリから数センチ程度歪むのだ。プラムラインは上から下、下から上に向かって張られた鉛直線と堤体の基準点のズレを常に観測し、堤体が異常な動きをしていないか監視しているのだ。

 
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WRITER
萩原 雅紀
萩原 雅紀
ダムライター、ダム写真家。1974年東京生まれ。ダムと名のつくものすべてを対象に、ライフワークとして「ダムめぐり」を続けている。これまで訪れたダムは国内外合わせて500基以上。毎年末に「日本ダムアワード」を主宰。ダムカードの発案にも携わる。著書に『ダム』『ダム2』(メディアファクトリー)、『ダムに行こう!』(学研プラス)等。
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