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萩原雅紀の「ダム」道。【10】ダムの「中」には何がある?

萩原雅紀の「ダム」道。【10】ダムの「中」には何がある?

地震計もある

そのほか、堤体の内部には地震計も設置されている。地震が発生すると、ダムにもっとも近い観測点で震度4以上、もしくは堤体に設置された地震計で25ガル以上を観測した場合は季節時間に関係なく、職員による点検が行われる。夜中でもダムまでやってきて、堤体の上だけでなく内部の監査廊や周辺も歩いて点検するのだ。本当におつかれさまです。
したがって、見学会などで監査廊を歩いているとき、よそ見をしていてこの地震計のボックスを蹴飛ばしたりしてしまうと大変なことになるので要注意。

見学のときは地震計に気をつけよう

染み出る水を抜く

そのほか、貯水池の方から染み出してくる漏水の量を調べるセンサーや、堤体が乗っている岩盤の下から染み出してくる水を抜き取る(放置しておくと堤体が浮き上がるおそれがある)ための排水溝もあって、そういった水は堤体のいちばん底に集められ、溜まったらポンプで自動的に排水されている。もちろん、それぞれの水量は日頃から自動的にチェックされ、異常に多くなったり少なくなったりしていないかも監視されている。

監査廊は、こういった設備やセンサーのメンテナンスのために、日頃から職員さんが行き来しているのだ。

漏水や湧水の量は異常がないか定期的にチェックされている

ダムの中に乗り物!?

というわけで、高さが何十メートルもあり、幅も数百メートルあるようなダムは、点検するだけで数キロの道のりを登ったり降りたりすることになって、職員さんたちも疲れてパフォーマンスが低下してしまう。そこで、監査廊の中にモノレールが敷かれ、乗り物に乗って移動できるダムもあるのだ。まさかあの、片側は膨大な量の水、反対側は絶壁のコンクリートの壁の中にモノレールが通っているとは想像できる人も少ないのではないだろうか。

ちなみに僕はこれまで、ダムの中で跨座式だけでなく懸垂式のモノレールも見たことがある。

監査廊の中を通る懸垂式モノレール

後付けの跨座式モノレールも存在する

巨大な空間!

現在ではもう造られることはないけれど、セメントが高価だった昭和40年代頃まで、コンクリートの使用量を減らした「中空重力式コンクリートダム」という型式が造られていた。中空重力式ダムはその名の通り、堤体の内部に巨大な中空の空間がある。その空間は、上で書いたセンサーが設置されたり水抜きの排水溝などに使われることもあるけれど、それ以外は特に何に使われるでもなく巨大な空間がそこにある。

まるで大聖堂のような荘厳な雰囲気なので、機会があればぜひ中空重力式ダムの内部見学に行ってみてほしい。岐阜県の横山ダムは国内で唯一、中空部分の見学を随時受け付けている。

巨大な空間が堤体の中にある

上の方を通る監査廊の橋が架かっている!

 
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WRITER
萩原 雅紀
萩原 雅紀
ダムライター、ダム写真家。1974年東京生まれ。ダムと名のつくものすべてを対象に、ライフワークとして「ダムめぐり」を続けている。これまで訪れたダムは国内外合わせて500基以上。毎年末に「日本ダムアワード」を主宰。ダムカードの発案にも携わる。著書に『ダム』『ダム2』(メディアファクトリー)、『ダムに行こう!』(学研プラス)等。
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