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萩原雅紀の「ダム」道。【10】ダムの「中」には何がある?

萩原雅紀の「ダム」道。【10】ダムの「中」には何がある?

アーチの監査廊はアーチ

ちなみに、中空重力式と同じようにコンクリート削減を目的に造られたアーチダムは、堤体の薄さのために内部に監査廊を造ることができないため、代わりに外側に通路がついていて、いわゆるキャットウォークと呼ばれている。

みんな大好きアーチダムのキャットウォーク

キャットウォークは監査廊が表に出て目に見えるようになったとも言える

しかし、一部の巨大アーチダムでは堤体内部に監査廊が通っているところもある。そんなアーチダムの監査廊を歩いて気づくのは、当たり前だけど監査廊も堤体と同じ半径でアーチしている、ということだ。ここがまさにアーチ式の堤体の内部だということが分かる、貴重なシーンだと思う。

この緩やかなカーブはアーチダムの監査廊!

迫力の放流設備がすごい

堤体の中には放流設備が設置されているダムも多い。特にコンジットゲートと呼ばれる、主に洪水調節で使われるゲートは高水圧に耐える非常に頑強な構造で、コンジットゲートに多い高圧ラジアルゲートは、同じラジアルゲートながらクレスト(堤体のてっぺん)に設置されたゲートが華奢に見えるほど。

巨大な水圧に耐えるコンジットラジアルゲート

構造的にはクレストラジアルゲートと同じだけど迫力が違う

もちろん、そんな巨大で重厚なゲートを動かすために、巨大な油圧シリンダーをはじめとする駆動系の装置もダムの中に設置されている。

コンジットゲートを動かす巨大な油圧シリンダーと制御機器

また、ゲートだけでなくバルブが設置されているダムもある。バルブには2種類あって、外観から種類を見分けるのは難しいけれど、主にビームのようにまっすぐ飛ばして狙った場所に着水させるホロージェットバルブ、霧状に拡散させて放流の勢いを減らすハウエルバンガーバルブが使われている。

堤体に内蔵された巨大なホロージェットバルブ

堤体から外を狙うハウエルバンガーバルブ

というわけで、実はハイテクとノウハウがぎっしり詰まったダム。ダムの中を見てみたくなった方も多いのではないだろうか。そんなあなたに朗報だ。毎年7月下旬に、全国のダムで一斉に見学会などのイベントが行われる(森と湖に親しむ旬間)ので、気になるダムの中をぜひ見に行ってみよう。イベントの一覧は以下のリンクの先にあるPDFファイルを見てください。リストをPDFで発表、というところがいかにもお役所という感じだけど。

「森と湖に親しむ旬間」について

※萩原雅紀さんも携わる「第5回ダムマニア展」が神奈川県立相模湖交流センター アートギャラリーで2019年7月25日(木)まで開催中!

 
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萩原 雅紀
萩原 雅紀
ダムライター、ダム写真家。1974年東京生まれ。ダムと名のつくものすべてを対象に、ライフワークとして「ダムめぐり」を続けている。これまで訪れたダムは国内外合わせて500基以上。毎年末に「日本ダムアワード」を主宰。ダムカードの発案にも携わる。著書に『ダム』『ダム2』(メディアファクトリー)、『ダムに行こう!』(学研プラス)等。
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