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萩原雅紀の「ダム」道。【11】新提案!「堤体の効率」で比べる真夏の最強ダム決定戦!

萩原雅紀の「ダム」道。【11】新提案!「堤体の効率」で比べる真夏の最強ダム決定戦!

ロックフィルに厳しく、アーチ式に有利

同じように、広大な貯水池を誇っていても型式がロックフィルダムである御母衣ダム、九頭竜ダムは目立たない数字。逆にアーチダムの池原ダム、一ツ瀬ダムがこの中ではワンツーという分かりやすい結果であった。池原ダムの堤体はアーチダムの中でもかなり大きいが、田子倉ダムや早明浦ダムのダブルスコアという高効率なのだ。

がんばっても桁一つ違って勝負にならないロックフィルダム(九頭竜ダム)

巨大でも高効率のアーチダム(池原ダム)

しかし、同じアーチながら富山の黒部ダムは並みいる重力式よりもスコアが小さかった。堤高日本一でウイングなどもありかなり大きい堤体と比較して、貯水容量はそれほどなのだ。しかし黒部ダムは発電用、なにより必要なのはあの標高で黒部川の豊富な水量を取水することなのである。

黒部ダムの効率はこの標高でこの水量をゲットすること

もちろんこれはお遊びです

ひとつお断りしておきたいのは、この数字が悪いからといって「実際に効率が悪い」というわけではない、という点である。型式がフィルダムなのは地盤の強度などの問題があってコンクリートダムが建設できなかった、という理由。その場所にダムを造るにはその方法しかなかった、という意味でこの比較に現実的な意味はないのだ。

とは言え、地盤の強度が良く、谷が狭く、上流に広大な土地がある、という「ダムの最適地」に造られているダムにはロマンがある。そんなダムを見つけたい、というのがこの比較の理由だ。

小さくても効率の良いダムは?

ここまでは総貯水容量が特に大きいダムを見てきたけれど、次に「堤体積が小さく、それでいてそこそこ貯水量の大きい」ダムに目を向けてみる。

そこで、ちょっとダムに詳しい人ならすぐに一ヶ所思いつくであろう。北海道の雨竜第一ダムである。総貯水容量が国内12位の2億4465万m³ありながら、堤体は堤高45.5m、堤頂長216mの重力式コンクリートダムである。これはかなり上位、というか計算前にほぼ日本一だろうと予想できるのではないか。

雨竜第一ダム(写真/PIXTA)

しかし、ちょっと待ってほしい。実は雨竜第一ダムの貯水池、朱鞠内湖はもうひとつ、雨竜土堰堤という補助ダムの存在があって生み出されているのだ。そこでこの比較でも公平を期すため、両ダムの堤体積を足した数字で総貯水容量を割る。

雨竜第一ダム
総貯水容量244,653,000m³/堤体積308,000m³=794.33

2つの堤体を足したにも関わらず、ここまでで圧倒的トップの数字。

雨竜土堰堤はアースフィルダムながら、堤長22m、堤頂長442mというかなり体積の小さな堤体のため、総貯水量の大きさもあって結果にはほとんど響かなかった。広大な北海道のなだらかな丘陵地帯に造られていて、湛水面積も日本一のダムなのだ。

 
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WRITER
萩原 雅紀
萩原 雅紀
ダムライター、ダム写真家。1974年東京生まれ。ダムと名のつくものすべてを対象に、ライフワークとして「ダムめぐり」を続けている。これまで訪れたダムは国内外合わせて500基以上。毎年末に「日本ダムアワード」を主宰。ダムカードの発案にも携わる。著書に『ダム』『ダム2』(メディアファクトリー)、『ダムに行こう!』(学研プラス)等。
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