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萩原雅紀の「ダム」道。【11】新提案!「堤体の効率」で比べる真夏の最強ダム決定戦!

萩原雅紀の「ダム」道。【11】新提案!「堤体の効率」で比べる真夏の最強ダム決定戦!

逆も探してみる

これ以上効率の良さそうなダムが思いつかなかったので、逆に効率の低いダムはどのくらいの数字なのか調べてみた。条件に当てはまりそうなのは巨大フィルダムで総貯水容量の小さいダム。ということで思いついたのは揚水発電用ダム。なかでも長野県の南相木ダムは堤高136m、堤頂長444mの巨大ダムで堤体積は730万m³。総貯水容量は発電用水プラスアルファで1917万m³。佐々並川ダムより少ない!

ということで計算すると、なんと2.63!

雨竜第一ダムの794.33に対して2.63! この差が実際どのくらいなのかはよく分からないけれど、数字の差の大きさを見て「すごい……」と腕組みしながら唸ってしまう。

2.63なんて気にしない

とは言え、黒部ダムの目的と同じように、揚水発電所の上池である南相木ダムも「あの標高」に「あの水量」を貯めることが重要なわけで、効率云々で語れる存在ではない。

ここでもうひとつ思いついた。堤⾼6.4mで河川法上のダムではないけれど、もともとあった自然湖、中禅寺湖の出口を堰き止めて、洪水調節や下流の流量安定、発電などを行なっている中禅寺ダムである。

中禅寺湖は最大水深163mもあるので湖の貯水がすべて中禅寺ダムの管理下ではないだろうけれど、中禅寺ダムの総貯水容量は2510万m³、それに対して堤体積は2000m³(!)である。圧倒的小ささ! そして弾き出された堤体貯水効率は12550。ものすごい数字だ。

とは言えダムではないのであくまで参考値扱いである。

この見た目で圧倒的な実力の持ち主、中禅寺ダム

ついに見つけてしまった、意外な本命

しかし、中禅寺ダムで思い出してしまった。同じように自然湖の出口を堰き止めた「ダム」がある。しかも堤高32.1m、堤頂長88.2mと非常にコンパクトな堤体。そして型式は…、バットレス。同規模の重力式よりも体積が小さくなるはずだ。そのダムとは群馬県の丸沼ダムである。

総貯水容量は1360万m³、堤体積は1万4000m³。というわけで計算した結果、堤体貯水効率は971.43。

なんと雨竜第一ダムを抑えて全体のトップに躍り出た。

現在のところ日本一は丸沼ダムに決まりました

しばらく考えてみたけれど、これ以上の高効率のダムは思いつかなかった。というわけでここでは丸沼ダムが「堤体貯水効率日本一」ということで締めたいと思う。

ぜひ皆さんも総貯水容量を堤体積で割って、高効率なダムを探してください。そして丸沼ダム以上のダムを見つけたら、こっそり教えてください。

あとがき

というわけで、それぞれのダムが持っているスペックから、まったく新しい要素の数字を出して比べてみた。はっきり言って何の役にも立たないけれど、それぞれのダムにさらに新しい個性が加わったような気がしないだろうか。

表に出ていないダムのスペックはほかにもある。堤高と堤頂長からおおよその断面積を出して、総貯水容量を割れば型式に左右されない「純粋な効率」が算出されるかもしれないし、堤体の大きさを発電の最大出力で割れば単位体積あたりの発電量で比較できる。

みなさんなりの要素別「最強ダム」を探してみてください。

 
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WRITER
萩原 雅紀
萩原 雅紀
ダムライター、ダム写真家。1974年東京生まれ。ダムと名のつくものすべてを対象に、ライフワークとして「ダムめぐり」を続けている。これまで訪れたダムは国内外合わせて500基以上。毎年末に「日本ダムアワード」を主宰。ダムカードの発案にも携わる。著書に『ダム』『ダム2』(メディアファクトリー)、『ダムに行こう!』(学研プラス)等。
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