エンタメ
秋本 佑の「建築を読書する」【01】偶然が生み出した「ほんやのほ」の自由な空間
2019/04/05
26
1.6K

筆者:秋本 佑
本屋や図書館、ブックカフェなど「本」や「読書」にまつわる建築は、わたしたちのまわりに多く存在する。つい「その読書空間にはどんな本が並んでいるか」で空間を解釈しがちだが、そうではなく、「どんな建築がその読書空間を形成しているのか」に焦点を当てると、新たに見えてくるものがあるのではないか――?
この連載ではそうした観点から、本(読書)を収める場所としての建築、空間を見つめていく。
第1回は、2019年2月に日本橋大伝馬町にオープンした会員制の本屋「ほんやのほ」に行ってみた。
昔ながらのオフィス街にある本屋
日本橋大伝馬町。昔ながらのオフィス街で、ていねいに使われてきたことがうかがえる低層ビルが軒を連ねている。通りを挟んだ向こう側に広がる問屋街も、独特の雰囲気をかもしだしている。
本屋「ほんやのほ」は、大通りから中に入ったエリアに建つビル2階に店を構える。広さ3坪、古書を中心に扱う本屋だ。ちなみに、このビルは「Creative Hub 131」という施設で、古くから建っていた6階建のビルをリノベーションしたものだとか。
1階のガラス戸を開けると、まずあるのは花屋。「本当にこの入口で合っているのか……?」と不安な気持ちを抱きながら奥に進むと、ようやく階段が見えてくる。

2階へと続く急な階段

剥き出しの壁
足元に気をつけながら階段を昇っていくと、急に視界がひらける。そこが、「ほんやのほ」だ。「受付」という文字が表すとおり、来店者はそこで会員登録をすることになる。

まず目に入るのが「受付」

階段下のスペースを活用した「受付」
お店にたどり着いてまず驚かされる。階段の下にある隙間を、受付(兼勘定場)としてうまく活用しているのだ。そんな受付で、店主を務める伊川佐保子さんが出迎えてくれた。

隙間にちょこんと収まる店主の伊川佐保子さん
WRITER

秋本 佑
本(読書)大好きライター。小学生の頃、江戸東京たてもの園で前川國男邸を見て以来の建築好き。建築の専門教育は受けていないものの、「建築ファン」のひとりとして、note(https://note.mu/task_akimoto/m/md67488f9638c)に記事を書くなど。
RECOMMEND編集部おすすめの記事
-
【橋脚崩壊】阪神・淡路大震災のダメージから阪神高速道路はいかにしてよみがえったのか【インフラ復旧】 66 2.8K
-
建設業界のイノベーター・助太刀CEOの我妻陽一氏は「『業界をぶっ壊す!』ではうまくいかない」と堅実に歩を進める【前編】 210 3.6K
-
【みんなで考えるオープンデスク】フリーランチ代表 納見健悟さんは「労働法で考えれば未来は開ける」と提案する 95 2.7K
-
【建設×障害】「パーフェクトワールド」モチーフの車いす建築士が障害を抱えてはじめて得た“視点” 19 2.8K
-
川田テクノロジーズ社長・川田忠裕氏は「人間と技術」の可能性を信じ未来を拓く【前編】 57 3.4K
-
難所をつらぬく国道45号線と「3.11」復興の歩み【戦後インフラ整備70年物語】 17 1.1K