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秋本 佑の「建築を読書する」【05】日比谷図書文化館は「不自由な三角形」を愛おしく思う場所だった

秋本 佑の「建築を読書する」【05】日比谷図書文化館は「不自由な三角形」を愛おしく思う場所だった

柱はすべて六角形

2階から3階は図書フロア。1階からはらせん階段をのぼっていく。現在、建物の床や壁は補修されているが、このらせん階段周りについては当時のまま。デザイナーが色などを指定し、空間に調和するものを選んだという。

この壁は当時のまま

床材もわずかに残っている

図書フロアは三角の形状を活かし、2辺に沿って翼を広げたような形で図書ゾーンが設けられている。構造上デッドスペースになってしまう中心の三角形部分は、建築当初から書庫になっており、建物全体は地下1階、地上4階建てだが、書庫は7層になっているそうだ。

図書ゾーンは2フロア・2辺の計4ゾーン(オレンジ、パープル、グリーン、ブルー)に分かれている。並木さんいわく「オレンジは太陽、パープルは千代田区のシンボルカラー、グリーンは公園の緑、ブルーは空の象徴」とのこと。

真ん中の灰色の三角形が書庫

蔵書の特徴としては、「ビジネスに関する本、千代田区や東京に関する本、アートに関する本」が充実していることが挙げられる。これは、千代田区の図書館行政が「それぞれの館ごとに、そこならではの本を所蔵する」という方針に基づいているためで、日比谷図書文化館の場合はビジネス街にあることや、歴史と文化を象徴する日比谷公園の中にあることが蔵書のラインナップを特徴づけているのだろう。

図書フロアを歩くと、各所にテーマごとの展示コーナーが設置されているのに気づく。その数、およそ10コーナーほど(最新情報についてはこちらに掲載)。

一般的な図書館のイメージは「読書や勉強などなにか目的があって来るところ」だが、その点日比谷図書文化館は、これらの展示があることで「なにも目的がなく訪れても、おもしろそうなものを見つけることができる」空間になっている。

また、図書フロアの本は館内どこででも読むことができ、後述するカフェやレストランに持ち込むことも可能。図書フロア内にもさまざまな形状の椅子があるので、座る場所を変えるだけでも新鮮な気持ちになれそうだ。

ゲームに関する本を集めたコーナー

新聞の見出しなどをもとに選書したコーナー

さりげなく置かれた椅子も目を楽しませてくれる

ちなみに、フロアにある柱を見てみると、すべて六角形。これは、建物が三角形であるため通常の四角形の柱では支えることができないことによるもの。こうした細かな点も、建築好きとしては興味深く映る。

片側から撮影した柱

さらに、フロアの一部の窓にはブラインドではなく障子が嵌っている。ここが都立日比谷図書館だった当時はすべて障子だったそうだが、一部をそのまま残したとのこと。日本的な雰囲気を醸し出すと同時に、外からの光を柔らかいものにする役割も果たしており、これも見どころのひとつである。

内側から見た障子

外側から見ると、障子から柔らかな光が漏れている

 
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WRITER
秋本 佑
秋本 佑
本(読書)大好きライター。小学生の頃、江戸東京たてもの園で前川國男邸を見て以来の建築好き。建築の専門教育は受けていないものの、「建築ファン」のひとりとして、note(https://note.mu/task_akimoto/m/md67488f9638c)に記事を書くなど。
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