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ロンロ・ボナペティの「名建築の横顔~人と建築と」【番外編】建築が長く愛されるための3つの工夫

ロンロ・ボナペティの「名建築の横顔~人と建築と」【番外編】建築が長く愛されるための3つの工夫

この連載では、建築的に高く評価された名建築が、いまどのように使われているのかを見てきた。

残念ながら、建築的な評価に関わらずその役割を終えて取り壊されてしまうものも多いなか、良い建築が良い使われ方をしている様子を見ることは、建築ファンにとっては嬉しいことこの上ない。

自分が直接その建築に関わることがなかったとしても、不思議と微笑ましく感じてしまう。

今回は番外編として、竣工から長期間が経った名建築がどのような使われ方をしているのか、実例を整理しつつ「長く愛される建築」をつくるヒントを考えてみたい。

メンテナンス型

いつまでも朽ちることなく、建てられたときの姿のまま使われ続ける。自分の関わった建築がそんなふうに使われてほしいという想いを胸に、建築の設計に勤しむ人も多いのではないだろうか。

しかしながら現実には、時代とともに社会のあり方も建築に求められる性能も変わっていくなかで、同じように使われ続けるのは稀といえる。

事業主にとって合理性がなければ簡単に取り壊されてしまうのが資本主義社会の常。

時の流れにさらされても必要とされるだけの力を建築がもっていて、なおかつしかるべきメンテナンスが行われてきた「愛され建築選手権」の雄が、このメンテナンス型だ。

 

最もなじみのある例として、宗教建築があげられる。

信仰の対象として建てられた宗教建築は、それ自体が寺社仏閣のアイデンティティとなり、時代とともに信仰のあり方が変わってもかたちを変えずに使われ続ける。

上質な木材が揃えられ、数百年単位で躯体が建ち続けている例も珍しくない。品格を保つために計画的な改修も行われ、建物にとってはこれ以上ない理想的な使われ方といえるだろう。

交通のアクセスが悪いほど観光地化されにくい、ということもあるのだろうか。

山奥の密教寺院「室生寺」は、建立当時とは宗教の役割が大きく変わったいまでも、往時の美しい姿をとどめている。

室生寺 五重塔(奈良県)

また20年に一度社殿を新しくつくり替える伊勢神宮をはじめとする式年遷宮は、地震や火事に弱い木造だからこそ生まれた、建築の姿を半永久的に後世に伝えていく文化である。

 

宗教建築以外で、100年単位で用途も変わらず使われ続けている建築としては小規模なものが多いが、メンテナンス、というよりは「復活」に近いかたちで現代に蘇ったのが「東京駅丸の内駅舎」だ。

開業当時と比べ、新幹線の開通や各種路線の増設、ほか多数の駅機能の拡充を経ながらも、東京のシンボルとして100年以上昔のデザインが残されていることは、長く残る建築を考えるうえで象徴的な事例である。

東京駅丸の内駅舎(東京都)

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WRITER
ロンロ・ ボナペティ
ロンロ・ ボナペティ
「専門知識がなくても楽しめるように建築の魅力を伝える」がモットーの建築ライター・編集者(と名乗る黄色い鉛筆)。大学院の建築コースを修了後、建築系のコンテンツ制作に携わる。国内外の都市や建築を巡って得た気づきをコンテンツプラットフォームのnote(https://note.mu/ronro)で発信中。
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