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ロンロ・ボナペティの「名建築の横顔~人と建築と」【11】内井昭蔵の世田谷美術館
2020/09/19
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筆者:ロンロ・ ボナペティ
「あの名建築」は、いま、どのように使われているのだろうか?
竣工当時も高く評価され、いま現在も変わらぬ価値を維持し続けている建築を取材する本シリーズでは、建築と、それに関わる人びととの関係を探っていく。
「作品のない展示室」で見えた作品
「なるほどその手があったか」
多くの文化事業が企画の中止や延期、あるいはオンラインでの公開など活動の収縮を余儀なくされるなか、ある美術館が打ち出した施策を見て第一印象そう思った。
SNSを中心にネットでも話題となったので、筆者と同じ想いを抱いた方も多いだろう。
世田谷美術館による「作品のない展示室」のことだ。
各地から展示品を集めるキュレーションや、展覧会のために作家を招聘し作品をつくることが困難な状況を逆手に取り、建築家の設計した展示空間そのものを作品として体験してもらおうという試みである。

美術館へのアプローチ。巨大な構造物が緑に埋もれているようだ

外構デザインにも力が入っている。ブリッジの下を抜けると大きな中庭が広がり、カフェのオープンテラスとなっている

来館者を迎えるエントランス。トップライトからの柔らかい光に包まれている。階段を舞台に見立てたパフォーマンスも行われる

作品も仕切り壁もないがらんどうの展示室。通常この状態の展示室を見ることはできない
WRITER

ロンロ・ ボナペティ
「専門知識がなくても楽しめるように建築の魅力を伝える」がモットーの建築ライター・編集者(と名乗る黄色い鉛筆)。大学院の建築コースを修了後、建築系のコンテンツ制作に携わる。国内外の都市や建築を巡って得た気づきをコンテンツプラットフォームのnote(https://note.mu/ronro)で発信中。
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