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首都高研究家・清水草一の「高速道路」道!【06】「道路利権」はどこへ消えた?

首都高研究家・清水草一の「高速道路」道!【06】「道路利権」はどこへ消えた?

「国家権力が道路利権を貪っている」は本当なのか

首都高研究家や道路交通ジャーナリストを名乗る私だが、本業は自動車ライターをやっていて、新型車などの試乗レポートなど、クルマにまつわることを主に書いている。

自動車業界は当然ながらクルマ好きが多く、その流れで道路に興味を持つ人も少なくないので、「道路の記事、いつも楽しみに読んでますよ」と声をかけていただくこともしばしばだ。

で、道路の話がはずみ、内容がちょっと深くなっていくと、彼らがよく口にする言葉がある。それは、「いろんな利権があるんでしょうけどねぇ」といった趣旨のことである。

利権。確かに道路建設はかつて利権の温床だったらしい。私はこれまでドライバーの立場で、道路の必要度や渋滞緩和策などについて書いてきただけなので、利権についてメスを入れたことはほぼないが、確かに昔はいろいろあったようだ。

しかし今、このニッポンに、官がらみの利権と言えるものは、果たしてどれくらい残っているのか。

例えば警察。かつては、警察に知り合いがいれば、違反をもみ消してもらうことができた。そういう話はしょっちゅう聞いたし、そんなのはアタリマエのことだった。

警察の取り締まり方法には少なからず批判も。(写真/PIXTA)

しかし今、交通違反は、身内の警官同士ですらもみ消せなくなっている。なにせ、バレたらすぐ懲戒免職なのである。そしてなぜか、バレるようになった。バレるようになったのは、同僚が事実を知ってしまったら最後、黙っていたら自分も懲戒免職になるからだ(たぶん)。

警察はお役所の中のお役所で、最も保守的な「官」だと私は考えてきた。警察の時代錯誤な考え方ゆえに渋滞が生まれている部分も多々あり、その保守的な体質には長年うんざりしてきた。ところがその警察内部で、違反のもみ消しひとつできなくなっている(らしい)。

警察が変わりつつあるのは、道路側からもうかがい知れる。つい先日、新東名や東北道の一部区間で、最高速度が120km/hに引き上げられたが、そんな日が来るとは想像もしなかった。なにしろ警察は官の中の官。冒険を最も嫌う役所のはずだから。

もうひとつの驚きは、オービスの撤去だ。それも渋滞対策のためにオービスを撤去し始めている。警察側はそのようなアナウンスは行わないが、事実だ。

警察が渋滞緩和のためにオービスを撤去する時代になってきた……!(写真/PIXTA)

昨年2月、私の長年の悲願であった首都高C2小菅-堀切間の4車線化が完成した。これで、ここを先頭とした渋滞が大幅に緩和されると期待したのだが、当初、効果はかなり限定的だった。

理由は、この区間の拡幅で流れがよくなると同時に、その1キロほど先にあるオービスが渋滞の先頭になったからだった。

渋滞の原因だった車線の減少がなくなれば、当然速度は上がる。速度が上がったところにオービスがあれば、人々はブレーキを踏む。しかもその場所が、ジャンクションの合流のすぐ先、上り坂が終わったあたりだ。ただでさえ自然に速度が落ちる場所にオービスがあれば、絵に描いたような”サグ効果”となる。首都高のような年中混雑している路線では、オービスが立派な渋滞の原因になってしまうのだ。

しかしまさか、拡幅完成のわずか数か月後に、警察がオービスを撤去してくれるとは思いもしなかった。

オービスは、警察にとって金の卵を産むニワトリ。大事な資産であり利権のはずだ。それを、渋滞緩和のためにむざむざ手放すなんてあり得ないと思っていたが、そのまさかが起きている。4号新宿線下り赤坂付近のオービスも、最近撤去された。これも渋滞対策だと思われる。

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WRITER
清水 草一
清水 草一
1962年東京生まれ。慶応義塾大学卒業後、編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』『浜崎橋はなぜ渋滞するのか?』などの著作で首都高研究家・交通ジャーナリストとしても活動中。『週刊SPA!』など連載多数。日本文芸家協会会員。
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