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首都高研究家・清水草一の「高速道路」道!【08】平成の首都高は“地獄の渋滞”克服の歴史だった

首都高研究家・清水草一の「高速道路」道!【08】平成の首都高は“地獄の渋滞”克服の歴史だった

あとは救世主・外環道東京区間を待つのみ……!

いったいなぜこんなハッピーなことになったかというと、ネットワークが充実したからである。まず、平成5年にレインボーブリッジ(11号台場線)が開通。これで4号線上り渋滞が大幅に緩和されたのには本当にビックリした。

やはり大正義レインボーブリッジである!

11号線は4号線とはまるで無関係に思えるが、これが開通したことで、それまで箱崎JCTに集中していた首都高の通過交通が分散され、ちょうど地球(都心環状線)の裏側に当たる4号線上りが最も恩恵を受けたのだ。これで、それまで1時間弱だった幡ヶ谷-霞が関間の所要時間は、だいたい半分になった。

平成14年には中央環状王子線が、平成平成19年と平成22年には中央環状新宿線が、そして平成27年には中央環状品川線が開通し、中央環状線が全線開通。幡ヶ谷から羽田空港まで30分で行けるようになってしまった! 信じられない! もちろんもっとかかる場合もありますが、混んでいるほうが例外的。昭和の終わりには、首都高が空いていると「どうしたんだ!?」と訝しんだのと真逆である。

平成元年2月24日の大喪の礼当日は、大々的な交通規制の予告により業務車両が劇的に減少して首都高がガラガラになり、「うおおおお、地平線が見える!」と打ち震えたが、当時、首都高が空いているというのは、それくらい椿事(ちんじ)だった。

首都高4号線上りが猛烈に空いたと書くと、怒る方もいらっしゃるだろう。「その分、毎朝中央道上りが大渋滞してるんだよ!」と。実際、平日はほぼ毎日、首都高永福入口付近を先頭に、12キロくらい渋滞している。中央環状線の全線開通によって都心部は空いたが、その分渋滞が郊外に移転したのだ。いつも永福か幡ヶ谷入口から首都高を利用している私は、恩恵を受けまくっているが、その割を食っているドライバーも多数いらっしゃる。申し訳ない限りである。

渋滞は郊外へ、郊外へ……(写真/PIXTA)

だが、外環道東京区間が完成すれば、それもかなり緩和されるだろう。なにしろ外環道東京区間は片側3車線の大容量。吸い込みは劇的に良くなるはずだ。逆に外環道埼玉区間(片側2車線)の渋滞が大幅に悪化する可能性が高いが、その場合は外環道埼玉区間の路肩を潰し、各車線の幅を詰めるなどして、もう1車線ひねり出して対応していただきたい。東名・岡崎IC付近などで使われた暫定拡幅という手段である。私は高速道路研究家なので、先回りしてそこまで勝手に考えている。

頼むよ外環自動車道!(写真/Adobe stock)

ところで外環道東京区間の完成はいつなのか。当初は2020年の東京オリンピックまでの完成が目標だったが、それは昨年正式にムリということなり、その後は目標も明示されていない。オリンピックという目標がなくなったので、ダラダラと延びる気配が濃厚だ。

進捗状況を見ると、シールドマシンはまだほんのちょっとしか掘り進んでいない。東名側から発進した「みどりんぐ」と「がるるん」(シールドマシンの愛称)が、世田谷通り地下あたりまで進んだだけ。大泉側からの「グリルド」と「カラッキィー」(同じく愛称)は、まだ発進したばかりでほとんど前進していない。つまり全16キロのうち、わずか2キロしか掘り進んでいないのだ。いまだ未買収地もかなり残っている。なんだかんだで、順調に進んでもあと6年くらいはかかるのではないだろうか。それを見るまでは死ねない。

外環道(大泉付近)の工事のようす(写真/NEXCO中日本)

 
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WRITER
清水 草一
清水 草一
1962年東京生まれ。慶応義塾大学卒業後、編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』『浜崎橋はなぜ渋滞するのか?』などの著作で首都高研究家・交通ジャーナリストとしても活動中。『週刊SPA!』など連載多数。日本文芸家協会会員。
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