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宮田珠己の「迷宮は人生のインフラである」【10】多摩ニュータウン遊歩道に極上の迷路を見た【前編】

宮田珠己の「迷宮は人生のインフラである」【10】多摩ニュータウン遊歩道に極上の迷路を見た【前編】

クリティカル恐竜橋

「さくら通り」から「そよかぜのみち」に出たところで東に折れた。この「そよかぜのみち」は重要で、これこそは多摩ニュータウン遊歩道ネットワークにおける最重要幹線である。

そよかぜのみち1

多摩センター駅周辺ゾーンから永山駅周辺ゾーンへ海に落ちることなく行けるのはこの道のおかげであり、そのほかの遊歩道では途中南北に走る車道「青木葉通り」や「上之根大通り」を横断できない。もちろん横断歩道を渡ればいけるが、それは今回の設定では、死を意味することになっている。

そよかぜのみち2

遊歩道内には分岐がたくさんあり、事前情報なしに目的地へ向かうのは至難の業だ。なかにはちょっと行ってみたくなる脇道もあるが、行ってみるとやがて車止めに突き当たりその先は恐ろしい死の海となっている。

ちょっと行ってみたくなる脇道1

ちょっと行ってみたくなる脇道2

やがて恐竜橋に出た。

恐竜のモニュメントがある印象的な橋だ。

この恐竜橋は、多摩センターから永山へ抜けるたまには必ず通過しなければならないポイントであり、ここに来たということはここまでの道が間違っていなかったことを示す。

「これ、左右で阿吽になってるんですね」

とSさんが言った。

なんのことかと思ったら、恐竜の口が右は開き、左は閉じていた。

恐竜橋「阿」

恐竜橋「吽」

なかなか粋な仕掛けだが、なぜ恐竜なのかは謎だ。

恐竜橋を渡るとやがて南北に走る「落合東遊歩道」にぶつかるので、これを北へ折れ、すぐにまた東に向かう「なかよしこみち」に入る。このあたりが、今回の多摩センター=永山ルートの核心部である。

下校中の子どもたちが大勢歩いていた。

学校はたいてい遊歩道に連結しており、車道を通らずに通学できるのは素晴らしい。
豊ヶ丘の「医者村橋」を渡ると、小さな商店街があったが、ほとんどの店がシャッターが閉まったままだった。

商店街

「医者村橋」という名前は、近くに診療所が並んでいるからだと思うが、ネーミングに苦労のあとがうかがえる。多摩ニュータウン遊歩道の橋はどこも景観がよく似ており、違いがわかりにくい。なので恐竜のモニュメントで飾ってみたり、名前で情景が浮かぶようにしたのだろう。線路が見える「電車見橋」なんていうのもある。

後日この「電車見橋」にも行ってみたので、そのときの写真を載せておこう。京王永山駅からさらに東へ進み、京王線と小田急線を跨ぐところにある橋である。

電車見橋からの眺め(電車を待って撮るべきだった)

【後編につづく】

宮田珠己の「迷宮は人生のインフラである」【11】多摩ニュータウン遊歩道に極上の迷路を見た【後編】

 
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WRITER
宮田 珠己
宮田 珠己
エッセイスト。大阪大学工学部土木工学科卒。一度は就職するものの、独立してフリーランスに。著書に『ニッポン47都道府県正直観光案内』『無脊椎水族館』(ともに本の雑誌社)、『四次元温泉日記』(ちくま文庫)、『東京近郊スペクタクルさんぽ』(新潮社)、『晴れた日は巨大仏を見に』(幻冬舎文庫)、『ジェットコースターにもほどがある』(集英社文庫)ほか多数。2017~18年度朝日新聞書評委員。現在、湘南モノレールWEBサイト「ソラdeブラーン」の編集を担当。
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