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家入龍太のやさしい建設ICT講座【08】目指すは無人化! ICT建機の今と未来【前編】

家入龍太のやさしい建設ICT講座【08】目指すは無人化! ICT建機の今と未来【前編】

みなさんは自動車メーカーの自動車生産工場を見学されたことがあるでしょうか。かつては各工程で溶接や塗装を人手で行っていましたが、いまは産業用ロボットが代わりにほとんどそれを行っています。人間はそのロボットの補助的な業務にまわるほどになってきました。

この工場で1車種をつくる人数が以前は50人いたものが、人間からロボットに置き換わり、今では人間は数人というぐらいになる。労働した価値を人工で割ったものが「生産性」なので、人間が抜けた分だけ、生産性が上がったというわけです。

しかし建設業の場合は100年ぐらい前から、現場でコンクリートを打設したり、締め固めたりする時はそこにいる人間総出で行うような状況でした。それがセンサー類やロボットが進化してきたおかげで、建設現場も自動車工場のようになってきて、世の中の大きな流れの変化を感じます。最終的には、「ICT建機による建設現場の無人化」が到達点になるでしょう。

今回は、最新ICT建機の驚くべき進化ぶりや、さまざまなバリエーションをご紹介します。

遠隔操作から完全自律の自動化へ

「無人化」は、雲仙普賢岳の復興工事が発端です。しかしこれは「無人化」といいつつも、人間が遠隔操作していました。それではかえって操作性が悪かった。現在の「無人化」は完璧に人間のオペレーションなしで動く。それが従来の無人化施工とちょっと違うところです。

まずは「墨出し(建築測量)」です。墨出しは建設パーソンにはおなじみでしょうが、一般の方には「?」かもしれません。建設現場において、柱の中心線や床・壁の位置などの基準線を構造体に直接引くことです。

1/50などの縮尺図面をもって、図面上の座標が現場ではどこに相当するのかなど、2人1組でメジャーテープを使ってひとつの点を出すのに4回ぐらい測っていました。当然、間違いやブレも多く発生しがちです。

最近だと3DモデルやCAD図面を測量機に入れて、座標点まで誘導してくれるシステムが登場してきました。ひとりでできるようになっただけでも相当な効率化なのです。

そんな中、いま注目を集めているのが竹中工務店が試験導入した「自走式墨出しロボット」です。

写真/竹中工務店

言ってみれば、実物大のXYプロッター。CAD図面のデータを入れれば、そこに描かれたとおりの線をプロッターで構造体に墨出ししてくれるのです。誰もいない夜中の現場で粛々と作業を進められるのも、自走式の大きなメリットです。そう、まるで「自動お掃除ロボット」のように……。

実は竹中工務店に先んじて、2018年9月に日立プラントサービスがCADデータを用いた墨出しロボットを発表しています。

写真/日立プラントサービス

同年12月には新菱冷熱工業がBIMデータを利用する「業界初 完全自動施工図描画ロボットを開発」という発表を行いました。

写真/新菱冷熱工業

それぞれが独自で開発するほど強いニーズがあったということ、逆に言えば「これまで何もソリューションがなかった」ということを意味しています。

ドローンなどの分かりやすい分野ならば前回のようなITスタートアップの参入もあるでしょうが、墨出し装置や水中の地形をリアルタイムに見える化する装置はニッチ過ぎて「お困りごと」の存在に気付かれず、結果として外部参入がないので自社開発するしかなかったようです。

竹中工務店の墨出しロボットのニュースは、私のブログでも大反響で、望まれている空気を強く感じます。昨年、竹中工務店が実証実験を行った四本足ロボット「SpotMini」にこのプロッターを搭載すれば、段差のある建設現場でも対応できるはず。

写真/竹中工務店

墨出しロボットの今後の展開、大いに期待したいところです。

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家入 龍太
家入 龍太
BIMや3次元CAD、情報化施工などの導入により、生産性向上、地球環境保全、国際化といった建設業が抱える経営課題を解決するための情報を「一歩先の視点」で発信し続ける建設ITジャーナリスト。代案や新しいことへのチャレンジを「ほめて伸ばす」のがモットー。日経BP社出身。講演回数は90回以上。資格は中小企業診断士、1級土木施工管理技士など。
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