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家入龍太のやさしい建設ICT講座【01】建設ICTが盛り上がっている理由【後編】

家入龍太のやさしい建設ICT講座【01】建設ICTが盛り上がっている理由【後編】

BIMのメリットとは

BIMのメリットは、いうまでもなく「人間にとって見やすい、分かりやすい」ことでしょう。

当然ですが、建築確認申請時に、図面に間違いがあってはいけません。平面図と立面図、断面図で食い違いがあってつくれない図面では困ります。ドアの位置が違うと修正も割と簡単にできるし、すぐそれが図面に反映される。お客さんと設計の交渉を行う時に、どれぐらい原価が減るかが分かる。

3次元の図面をつくるのは、線の太さの設定や切断面にどんな模様をつけるかなど、かなり高度なテクニックが必要ですが、徐々に対応できる人が増えてきました。

当初は3次元を使えるのは、大企業のごく一部だけの人でした。それらの人がいくら「3次元はいい」と言っていても、なかなか広まらなかったんですが、最近はスキルを持った人が増えてきて効果が認知されて、「3次元でやった方がいい」という事実が、ようやく大勢に知られるようになってきました。

3次元の技術は、設計から見積もり、そして施工段階、つまり現場でのものづくりにまで落とし込めるようになってきました。これまでは、設計者が3次元で設計しているにもかかわらず、施工は2次元の平面図面を基に行われてきましたが、徐々に施工段階でも3次元を使えるようになってくると、手戻り(やり直し)がなくなってきたんです。

手戻りをなくすBIMの力

たとえば設備工事においては、空気を通すダクト、給水管、水道管、ガス管、排水管があります。すべて違う業者が行うことも多いですが、排水管は重力に従わなければいけない種類のもので、傾斜がないとそもそも排水できません。しかし排水管の工事をやる段になって現場に行ってみたら、ほかのダクトがもう通っていて、排水管が通せない、という事態が起こっています。

仕方なく、他のダクトを切って排水管を優先して通す、曲げたダクトを後で付ける、というようなやり直しが起こります。それが21世紀の現代でも今だに行われているのが現状です。

ある大手企業が複雑な設備工事を行うとすると、3割の手戻りがあるといわれています。

その理由は、設計図面が8割ぐらいしか固まってないからです。すると未知だったもの同士の干渉が起こります。結果、現場で摺り合わせせざるを得ないのです。現場で一番しわ寄せが起きるのは、建物や内装ができて、最後の最後、設備工事を行う時です。

聞くところによると、設備だけではなく、柱や梁などの構造部材や階段などでも似たようなことが起こるそうです。工場でつくってきた階段やエレベーターのドアをクレーンで下げて、いざつける時になったら「ぶつかる箇所がある!」。これではつくり直しです。

それでも、これまでは結果オーライで、「終わった。よかった。おしまい」で忘れてしまっていたし、それを繰り返していたし、なおかつ業界の“当たり前”でした。

しかし中には、設計変更が周知されておらず、設備工事まで進んだ段階でコンクリートに数百カ所の穴を開けなければいけないという問題が発覚して、結局、取り壊した上で立て直したマンションもあります。

これは極端な例ですが、「手戻り3割」どころか、その何十倍、何百倍の損害です。

やり直しが非常に多い現状を、BIMを使えば、各部品がぶつからないようにして図面を10割までつくれる。結果として手戻りがゼロになるのです。

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WRITER
家入 龍太
家入 龍太
BIMや3次元CAD、情報化施工などの導入により、生産性向上、地球環境保全、国際化といった建設業が抱える経営課題を解決するための情報を「一歩先の視点」で発信し続ける建設ITジャーナリスト。代案や新しいことへのチャレンジを「ほめて伸ばす」のがモットー。日経BP社出身。講演回数は90回以上。資格は中小企業診断士、1級土木施工管理技士など。
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