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建設ICT

家入龍太のやさしい建設ICT講座【01】建設ICTが盛り上がっている理由【前編】

家入龍太のやさしい建設ICT講座【01】建設ICTが盛り上がっている理由【前編】

建設ICTとはそもそもなにか

「建設ICT」という言葉はいま幅広く使われていて、そこにはっきりした定義があるわけではありません。「建設分野におけるICT活用」ぐらいに捉えておいていいかと思います。かくいう私も、「建設ITジャーナリスト」と勝手に名乗っていますが(笑)。

建設とICTというのはもともと、水と油みたいなものです。大学でいえば、工学部の建築学科や土木学科の学生と、情報工学や電気工学方面へ進む学生も違いますよね。

その水と油が交わることで化学反応を起こして、「1+1=3」のようなこれまでにない効果が表れてきた。それが建設ICTの醍醐味だと思います。そして建設とICTが重なった部分だけを取材して記事を書く、それが「建設ITジャーナリスト」たる私の仕事です。

建設ICTの概念が生まれたのは、インターネットが誕生してから。もちろんスタンドアロンのパソコンを使って、CADで図面を描くということは、以前からありました。それがインターネットでつながることによって、データを送り合えるようになりました。

建設業の仕事は、本社や現場、あとは取引先の業者など、いろいろな場所で行われます。その間のデータの行き来が非常に多く発生します。それがインターネットの登場によって、直接行き来しなくてもデータを送れるようになり、かなり便利になった。建設業にとって、ICTにかかるウエイトが大きくなりました。

また2001年に、横須賀市で電⼦⼊札がはじまりました。役所に足を運ばなくても、インターネットで入札できるようになったんですね。それからカメラもデジカメになりました。デジカメで撮った画像をメール添付で送るようになったのは、少し後になってからと思いますけれど。

要は「ペーパーレス化」がICT化の主な目的でした。図面の体積が減ることで、省スペース化にもつながります。

建設ICTが停滞した最大の理由

しかしこれらのICT化は、根本的には、宅急便で図面を送る代わりにメール送信になって、紙だった図面を電子データに置き換えた程度。人間ならば図面を見て頭の中でどんなものができるか、だいたい想像できますが、コンピューターにそれを見せても、何も分からないし何もできない。電子化をしたのはいいけれど、コンピューターに人間の代わりに作業をさせるところまでは、なかなか行き着かなかったんです。

当時、小売業界などはすでにICTを活用して、「いま売れている服を、売れている間に増産する」というような、いわゆるサプライチェーンに取り組んでいました。しかし建設業はといえば、前述のように紙を電子化しただけ。国土交通省が「CALS/EC」という取り組みを進めていましたが、やはりペーパーレス化に終始してしまっていた。具体的に言うと、CADファイルをCD-ROMで納品しても、結局は紙に印刷して使用するというような……。仕事がかえって増えてしまっていた。

その理由は、主に上流のお役所側にありました。当時は役所にあるコンピューターのスペックが低く、容量の大きなデータに対応できないとか、さらにコンピューターを使えない人もけっこう多かったんですね。もともとパソコン自体を前提とした業務ではないので、PCスキルのない人は、工事の完成検査まで、データの存在を無視して紙ベースで進めていました。

結局のところ、2000年代の最初の10年近くは、国交省はICTにそれほど投資はしてなかったと思います。仮に高い技術を持つ建設コンサルタントが、3次元CADでデザインして、CGで完成予想図をつくったとしましょう。するとこんなやりとりが交わされていました。

コンサル「3次元の図面です」
発注者「これはいいですね!」
コンサル「じゃあ、3次元CADのデータ差し上げましょうか」
発注者「……いえ、結構です(もらっても、どうせ使わないし)」

せっかくコンサルタントがやる気になっても、発注者が不要なので無駄になってしまう。そんな状況がずっと続いてきたんです。

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WRITER
家入 龍太
家入 龍太
BIMや3次元CAD、情報化施工などの導入により、生産性向上、地球環境保全、国際化といった建設業が抱える経営課題を解決するための情報を「一歩先の視点」で発信し続ける建設ITジャーナリスト。代案や新しいことへのチャレンジを「ほめて伸ばす」のがモットー。日経BP社出身。講演回数は90回以上。資格は中小企業診断士、1級土木施工管理技士など。
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