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家入龍太のやさしい建設ICT講座【02】ドローンやロボットは建設現場に何をもたらすか【後編】

家入龍太のやさしい建設ICT講座【02】ドローンやロボットは建設現場に何をもたらすか【後編】

ノウハウやスキルの差を埋めるICT建機

建設機械の究極系は“無人化”だと思います。

無人化施工の現場は、1991年に九州・雲仙普賢岳が噴火した頃に誕生しました。当時は人間が遠くに隠れていて、人間の前にスクリーンがあって、車載カメラにより撮影された現場の映像をモニターで見ながら、ラジコン操作するものでした。

それが現在は、自動運転・無人施工を行うようになってきています。鹿島建設が2017年に大分川ダム(大分市)というロックフィルダムの建設現場で、無人ダンプカーと無人ブルドーザー、無人振動ローラーをコンビネーション稼働させました。ダンプが土を運んできて土をおろし、今度はブルドーザーがそれを敷きならし、振動ローラーで締め固める――あらかじめ決まった手順の工事は人が介在することなく、すべて無人で実行します。

ICT建機には、完全自動化まではされていなくても、たとえば素人に近いスキルで、熟練の技に近い仕事ができるようになる建機もあります。ICTパワーショベルならば、1週間程度の技能講習を受けたばかりの女子事務員が、4、5年の経験を積んだプロが行うレベルの法面仕上げができるようになる。

ICTブルドーザーもベテランに比べて作業スピードこそ遅いものの、地面を平らにできる。仮にベテランが辞めてしまって不在になってしまった現場でも、ICT建機さえあれば、曲がりなりにも作業が進むようになりますよね。 “匠の技”をICT建機に入れ込んでいけば、ベテランの微妙な力加減さえも学習して制御に反映できるようになるのです。

ICT建機にベテランが乗ったら……

ICT建機の導入は、省人化にもつながります。これまでの建機では、丁張りや水糸で示してあるバケットが土を敷きならすべき高さを、建機の近くに人が付いて、その基準より高いか低いかを指示していました。後ろが見えにくい建機は、周囲に人がいるかどうかを検知するシステムが備わっていましたが、ICT建機ならば、その指示役の人そのものが要らなくなります。

ベテランは、そんなICT建機を最初はなかなか使いたがらないんだそうです。なぜなら通常の建機に比べて数百万円も高価で、「もし壊しでもしたらマズいから」みたいなね。でも思い切って動かしてみたら、一発で気に入って、以来、ベテランがどの現場でもICT建機をひとり占めするようになった……そんな話も聞くようになりました。

懸案の価格についてですが、これから普及していけば、どんどん安くなっていくでしょう。たしかに技術の進歩が速く、「いつ買えばいいの?」と買い時に困る部分もありますが、いま時点ではいち早く導入した人が先行者利益を得ているようです。地方の従業員30人ぐらいの会社でも、先行投資的かつ戦略的に6台ぐらい保有している例もある。仮にそれが1台あたり500万円高かったとしても、それで生産性が上がり、休日も多く取れるようになるのであれば、メリットは計り知れないのではないでしょうか。

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WRITER
家入 龍太
家入 龍太
BIMや3次元CAD、情報化施工などの導入により、生産性向上、地球環境保全、国際化といった建設業が抱える経営課題を解決するための情報を「一歩先の視点」で発信し続ける建設ITジャーナリスト。代案や新しいことへのチャレンジを「ほめて伸ばす」のがモットー。日経BP社出身。講演回数は90回以上。資格は中小企業診断士、1級土木施工管理技士など。
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