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建設ICT

家入龍太のやさしい建設ICT講座【03】建設ICTのグローバル事情【前編】

家入龍太のやさしい建設ICT講座【03】建設ICTのグローバル事情【前編】

建設は現場構築から工場生産へ

建設業界の人材不足が叫ばれる日本ですが、それはなにも日本だけの話ではありません。海外、特に先進国でも、建設人材不足に悩んでいます。そのため、各国がICT技術を用いて生産性の向上に取り組んでいます。

アメリカや北欧では、“モジュラー・コンストラクション”に注力しています。“モジュール”とは組み立てユニットのことで、つまり工場で部屋をあらかじめつくって、現場で組み立てる方法です。

工場内での作業のうちロボットがユニットのフレームを溶接する以外は、人間の手作業の部分も多いんですが、屋根も天井も関係なく、ユニット自体を回転させながらつくっているおかげで高所作業や負担のかかる姿勢で行う作業が発生しません。

最初はコンテナハウスのようなものが多かったんですが、最近では学校の教室やホテルのロビーまで工場でつくって、現場で組み立てています。カリフォルニアのNEMO Building Systemsという会社が手がけたGardenVillageは、現場で基礎をつくりながら、工場でユニットを同時につくっています。いざ現場に持ってきて、あとは積んでいくだけ。これでアメリカ建築家協会(AIA)のイノベーションアワードを獲得しました。

ホテルのバスルームなどを専門につくっている会社もあります。さらに電気や給排水、換気設備までワンパッケージにしてしまうんです。さすがに完成後のユニット交換は難しいと思いますが……。

私が見る限り、BIMの流行からすこし遅れて“モジュラー・コンストラクション”が流行りはじめたようです。設備類の干渉チェックやコーディネーションができた完璧な設計がBIMで実現できるようになったので、工場でユニットをつくっても心配ない……という段階に至ったのでしょう。

日本においても、モジュラーコンストラクションが一部で使われはじめています。例えば三井住友建設は、PCコンクリートを用いることによって短い工期で建物を完成させられるのですが、内装は従来の工法のままなので、内装工事で時間がかかってしまう。そこで新潟にあるサトコウと組み、彼らが梁や柱に干渉しない部屋ユニットをつくり、そのユニットを差し込んでいく――そんなコラボが実現しました。

実は、モジュラーコンストラクションのお手本になったのは、日本のプレハブ住宅製造工場ラインです。日本ではその手法は住宅分野以外にあまり広がりませんでしたが、海外ではモジュラー技術がさらに磨かれて、いまや30階建のビルが建てられるまでになりました。

日本ではまだ、「建設というものは一つひとつ、現場でつくるべきだ」という固定観念があります。少子高齢化による労働力不足への対応策として、現場で作業を行っていた職人をロボットに置き換えるのもひとつの方法ですが、先に工場で組み立て部品をつくっていけば、そこではロボットがフルに活動しやすいし、人間も快適に作業ができる。今後ますます人材不足が進み、価値観が変わっていけば、建設の工場化は日本でも普及するかもしれません。

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WRITER
家入 龍太
家入 龍太
BIMや3次元CAD、情報化施工などの導入により、生産性向上、地球環境保全、国際化といった建設業が抱える経営課題を解決するための情報を「一歩先の視点」で発信し続ける建設ITジャーナリスト。代案や新しいことへのチャレンジを「ほめて伸ばす」のがモットー。日経BP社出身。講演回数は90回以上。資格は中小企業診断士、1級土木施工管理技士など。
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