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ワザ・モノ

⽇本武道館をアップデートせよ 2 ――⽵中⼯務店の挑戦【後編】

⽇本武道館をアップデートせよ 2 ――⽵中⼯務店の挑戦【後編】

施工図が……ない!

そろそろ、⽇本武道館改修⼯事ならではの苦労や工夫に迫るとしよう。

まずは、あの⼤きな屋根の頂点にそびえる特徴的な”⽟ねぎ”こと擬宝珠。実はあれが⼯程上、最⼤の難関だったのだとか。擬宝珠の改修を終え、⾜場を外さなければ、屋根の張り替え⼯程へ進めないのである。

写真/山田新治郎

「擬宝珠を早く終えて、屋根⼯程に渡してあげる作戦を提案したら、⽇本武道館さんが認めてくれたので助かりました」

写真/山田新治郎

その余勢を駆って、大屋根の張り替えへ。ところがこれがまた厄介なシロモノで……。

「緑⻘⾊でも8種類あるんですよ。緑⻘だけで8種類って、なかなか想像つかないですよね」

瀧澤さんが苦笑しながら話す「8種類の緑⻘」。⼭田守建築事務所のアイディアで、元来の銅板屋根の⾵合いを再現するため、8種類のカラースキームからなる元旦ビューティ⼯業製ステンレスパネルを採⽤したのだ。

単⼀の緑⻘⾊を貼れば、ベターッとした単調な⾒た⽬になってしまう。微妙に違う緑⻘⾊のパネルをランダムに貼れば、50年かけてまだらに緑⻘化した銅板屋根がよみがえる――。

あの広⼤な本館屋根は約8,000平⽅メートルもあるという。当然、⼿作業……。気が遠くなる。

写真/山田新治郎

「事前に何度も⾒本でつくったけれど、それでも2、3回間違えるぐらいの難しさでした。なにしろほとんど同じ⾊なので……(苦笑)。

そこで個々にナンバリングしたり、裏板の⾊を変えて『この⾊の裏板にはこの⾊の屋根を載せる』といった⼯夫をしました。本番では1回も間違えることなく、2019年3⽉頃に開始して、10⽉にはこの⼯事がだいたい終わりました」

ここで、副部⻑で設備長の⻄出和弘さんにも話を聞いてみよう。建築担当の瀧澤さんとは10年前の地下劇場のある観覧場の新築(文京区)以来、⼆度⽬のタッグとのことで「あの現場では⼤変でしたねぇ」と笑いあう関係だ。

⻄出さんによると施⼯のキモとは、「まず⼯程ありきですね」。

竹中⼯務店東京本店 作業所副部⻑(設備長)の⻄出和弘さん  ※取材は2020年7月。社会的距離を保って実施、インタビュー時はマスクを着用

「お客様(建築主)からいただいたスケジュールの中で、モノ(資材など)の発注などを早く決めて進めていくことが私たちゼネコンの使命であり、それが⼀番⼤切です。⼈がナンボいたところでも、モノが⼊ってこないと⼯事が進まない。いかにお客様や設計事務所とコミュニケーションを取りながら、早め早めにものを決められるかが重要。そうしないと、決められた⼯期内に収めることは難しいでしょう」

先⾏して⼯事を進めていた中道場棟建設時、1年ほどの時間的猶予があったため念⼊りに現地調査をおこなった。

ところが、また難題が。

ほぼ1年中スケジュールが埋まっている⽇本武道館の稼働率の⾼さ、設計事務所の現地調査などの兼ね合いで、竹中工務店自体の調査時間を取るのに苦労したのだ。

 
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「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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