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日本科学未来館の企画展「工事中!」は熱量MAXの建設パーソン養成空間。子供連れで行くべき

日本科学未来館の企画展「工事中!」は熱量MAXの建設パーソン養成空間。子供連れで行くべき

企画展「工事中!」が生まれたワケ

2月8日(金)から日本科学未来館ではじまった企画展 「『工事中!』~立ち入り禁止!? 重機の現場~」。

油圧ショベルだけでこんなに展示されている!!

一般の博物館や科学館において、建設機械(本稿ではイベントに合わせて“重機”とする)の特別展はちょっとめずらしい。なぜ企画されたのか。そのねらいや意図を尋ねてみた。

「重機は美しい!」と話すのは内田まほろ氏。

日本科学未来館 展示企画開発課 課長の内田まほろ氏は、同館キュレーターの“ものづくり担”として、この企画を3年も温めてきたんだとか! インスタ映えするこの標識群のディスプレイも内田氏のお気に入り。

内田氏は、展示された重機を“この子たち”と呼んでしまうほどに深い重機愛の持ち主。彼女いわく、「工事のプロセスや職人技のことをくわしく知れば、きっとみんなハマります。『全然おもしろくない!』なんて人はあまりいない。この企画展の担当者として誘った後輩たちだって、いまやみんな重機マニアになったぐらい(笑)」

誤解しないでいただきたいのだが、内田氏は単なる重機マニアではない。「重機だけを集めて機械を見せる展示にはしたくなかった」と断言する。大事なのは建設に関わる“人”なのだ、と強調する。だから展示内容も、先人の苦労や強い想いを順を追ってていねいに紹介しているし、その積み重ねで街ができている――その事実を受け取れるようになっている。

企画にあたって業界について知れば知るほど、同館のキュレーターたちは「人の命や生活に関わっている建設業界のことを、きちんと受け止め、伝えなければ」と強く認識したのだとか。結果として、彼女たちの熱量がかなり高い企画展が実現したのだ。

いずれICT技術の発展により、重機を操縦する人間は不要になる時代が訪れるかもしれない。それでもカギとなるのは“人”。「重機にロボットが搭載されて勝手に理想の街がつくられ、それを後からやって来た人間が享受する――そんな社会はありえない」と内田氏は熱弁する。だからこそ、普段は地下や隔壁の向こう側にあって、目にすることができない人の想いや歴史的な連なりを、建設業界をよく知らない層にもよく知ってほしい――そんな彼女の願いが込められている。

「重機はたしかに魅力的だし、それだけでもじゅうぶん展示として成立する。けれど……」と語るのは、監修者の高橋良和教授。

監修は、京都大学大学院工学研究科・高橋良和教授。「展覧会オリジナルヘルメット」をオープニングイベントからずっと被ったまま、場内を誰よりも熱心に見学していた。

 

こんなふうに前のめり。重機への愛を感じる……!!

「本当は重機を使う崇高な目的があって、それに携わる“人”が必ずいる。社会をよりよくするために行われている土木の仕事だけれど、つくるものが巨大なだけに、一般の人は、なかなかその背景にまで思いが及びません。その“人”の存在を、一般のみなさんがもっと意識できる世の中になればいいなと思うんです」

高橋教授は、オリンピックや万博需要で湧く建設業界に対し、「特別なイベントで業界が回るのではなく、もっと恒久的にうまく回る仕組みをつくっていくほうが大切だと思う」と意外に冷静に見ている(←失礼)。

建物や土木構造物をつくり、あとはそれの単なる維持管理をしつつ、次に建てるものを求めて海外へ進出――それだけでいいのか? と疑問を投げかける。自分たちの国をもっとサスティナブル(持続可能)にしていくために、建設業界は「世界をつくる」だけではなく、つくられたものを機能維持しつつ、絶えず更新していく、つまり「どのように新陳代謝させていくか」という仕組みをつくる。そんなことを頭に置きながらこの企画展を監修したのだという。

建築も土木構造物を更新する(つくり替える)のは、その場しのぎの修繕よりコストがかかるのは明らかだ。しかし、それを高く広い視座から検討し、選択できる一般市民が増えることが、成熟した社会なのではないか。高橋教授は企画展「工事中!」を訪れた人に、そんな意識が芽生えることを期待しているのだ。

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「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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