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写真家・山崎エリナさんが新刊『インフラメンテナンス』被写体女性と共に流した涙の理由

写真家・山崎エリナさんが新刊『インフラメンテナンス』被写体女性と共に流した涙の理由

アメリカやヨーロッパなど、世界40カ国以上で人や風景などを撮影してきた写真家の山崎エリナさん。2019年4月に福島県内のトンネルや道路などの工事現場に足を運び、そこで働く人々を撮影した写真集「インフラメンテナンス 日本列島365日、道路はこうして守られている」をこの4月に出版しました。

これまでインフラメンテナンスと無縁だった山崎さんですが、彼女は現場でどのような思いでシャッターを切り続けたのでしょうか?

インフラメンテナンスのリアルを感じてもらう写真に

――八重洲ブックセンター本店週間ジャンル別ベストセラー1位獲得、おめでとうございます。

山崎さん ありがとうございます!たくさんの人に手に取っていただいて光栄です。

山崎エリナさんは兵庫県神戸市出身。パリを拠点に写真活動に専念し、40カ国以上を旅して撮影。帰国後は国内外で写真展を多数開催。『三峯神社 開運ビジュアルブック』など写真集出版、雑誌、広告のほか、映像、音楽、エッセイと多彩な活躍を展開中。 坂本龍一氏など著名人のファンも多数。

八重洲ブックセンター本店のジャンル別ランキングでは、2,000円(税抜)という高めの単価にも関わらず、数多のビジネス書をおさえて見事1位に!

本作はもともと「インフラメンテナンスの写真集を作ろう!」と自分で決めて発行したワケではありません。福島県の寿建設株式会社の社長さんからオファーをいただいたのがきっかけです。

写真/山崎エリナ

彼から最初にいただいたのは、除草現場の撮影依頼でした。汗も拭わず、懸命に作業に取り組んでいる方々を見て、「……これは撮りたい!」と思いましたね。できあがった写真は「草刈りが、こんなに芸術的な写真になるんだ!」と驚かれて、社内外で話題になったようです。

――「除草」という、どこでも行っているありふれた作業風景で話題を呼ぶってすごいですね。

山崎さん 人という被写体の力が大きいのかな、と思います。

私はバックパッカーとして世界各国を旅しながら、人物を中心とした写真の撮影を続けてきました。女性が窓を開けて洗濯物を干している風景など、「人」を通してその街を撮ることで、見た人に各国の情緒を味わって欲しかった。

私は写真家として駆け出しの頃に渡仏して、写真を独学で勉強しながら撮っていたんですが、パリの国立図書館にいるキュレーターの方から「君の写真には物語があるね」と言われて、それからは言葉だけでは伝わらない現場のリアルを感じられる写真を撮るようにしています。

――本作でもインフラメンテナンスをする方々をていねいに撮影されていて、被写体への思いがひしひしと伝わってきます。

山崎さん 私は阪神淡路大震災を経験しました。あの震災では道路の分断や陥没、倒壊などが起きましたが、いまは当時の傷跡が分からないほどに街並みが綺麗ですよね。「元通りにするために、どんな修理や保全が行われたのだろう?」と、長い間、ずっと気になっていたんです。今回の写真撮影を通して、「こういう方々が直してくれたんだ!」とようやく長年の謎が解けました(笑)。

橋梁、舗装、除雪など、ありとあらゆるインフラメンテナンスの作業風景を撮影しましたが、自分から声をかけて、作業員の方々にポーズを取ってもらうことはしていません。懸命に働く人のありのままを捉えて、インフラを守ることの素晴らしさを伝えたかったんです。それはドリルを持つたくましい腕とか、作業が一段落して顔をぱっと上げる瞬間とか……。

 

写真/山崎エリナ

インフラメンテナンスは一瞬一瞬が尊くて、本当にまばたきさえも惜しいぐらい。私が感じた現場のリアルを、この写真を見た人にも感じていただければと思います。

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「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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