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焼失した沖縄のシンボル・首里城の木造再建のために必要な“匠の技”

焼失した沖縄のシンボル・首里城の木造再建のために必要な“匠の技”

首里城再建に必要な技術

首里城焼失により、沖縄県民をはじめ全国から悲しみの声があがった。しかし嘆いていても首里城はありし日の姿を取り戻してはくれない。沖縄のシンボル復活のため、一日も早く再建しなくてはならない。

幸いにして、首里城再建に関する議論は被災直後から交わされている。政府もすでに国営公園整備としての復元を目指すという基本方針を示していて、今年3月までに工程表を完成させる予定だ。復元の内容はというと、「1712年に再建された正殿」を原則としている。

沖縄県においても、2020年1月28日に首里城再建に向けた基本方針を論議する有識者会議の第1回会合が開催された。今年度内の首里城再建基本方針の策定を目指しているという。

 

国や県をあげて首里城再建へ取り組むのは心強くはあるものの、実は大きな課題がある。

まずは首里城を特徴づける美しい赤瓦。しかし首里城の赤瓦は新たに原料を調達するのも難しければ、製法の再現も困難といわれているのだ。

そもそも、首里城に使われている赤瓦は主に「クチャ」という沖縄本島中南部の泥岩が原料になっている。正殿だけで約5万枚、全体で約50万枚の赤瓦が必要と試算されており、再建にはおよそ1500~2000トンのクチャを用いることになるという。

しかし、クチャは採掘する産地によって焼き上げ後の色が変わる。そして平成再建時のクチャ「古我知粘土」の採掘地(名護市)には、すでに公共施設が建ってしまったのである。ひとつの場所から質が良いクチャを大量に確保するにはどうするか? それがまず第一の課題だ。

仮に潤沢なクチャが手に入ったとしよう。

赤瓦は丸瓦(男瓦)と平瓦(女瓦)から構成されていて、漆喰を組み合わせて葺くことにより暴風に強く、吸湿性・通気性にも優れている。赤瓦をつくるにはクチャと赤土を混ぜて成形、自然乾燥させた後に焼き上げる。しかし美しい赤瓦を焼き上げるには匠の技を持った職人の技術が必要となる。

前回の復元では、4代続く沖縄の赤瓦職人である故奥原崇典氏を中心に赤瓦を作り上げたのだが、奥村氏は2014年に他界し、後継者もいない。つまり、平成首里城赤瓦の再現ができないのが現状なのだ。赤瓦技術伝承のエキスパートである沖縄県琉球赤瓦漆喰施工協同組合が早々に「焼失した正殿の赤瓦を回収し、再利用できるものは使ってほしい」と県に要請したほどだから、そのむずかしさが窺い知れる。

木材確保も問題だ。前回復元時には約100本の台湾産ヒノキが使われたが、現在では伐採が禁止となっているためそれが使えない。世界的に見ても、このような大型木造建築の柱に向く大径木は枯渇気味だという。

漆器職人など技を受け継ぐ職人の減少も、悩みのタネである。

 
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「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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