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【戦後インフラ整備70年物語】まちづくりや環境配慮に挑んだ首都高中央環状線の50年

【戦後インフラ整備70年物語】まちづくりや環境配慮に挑んだ首都高中央環状線の50年

構想50年にわたった首都高中央環状線。有料道路事業というだけではなく、高架、橋梁、トンネルと多岐にわたり、街の再開発や河川事業とも関係していて、多くの行政機関や施工会社が関わってきた大事業だ。

おなじみ連続講演会「インフラ整備70年講演会~戦後の代表的な100プロジェクト~」(主催:建設コンサルタンツ協会)第4回は、首都高速道路株式会社のOB・現役の4人がその中央環状線の歴史を語り継いだ。その講演の模様をレポートする。

講演した首都高速道路株式会社の4名の関係者。(左上から時計回りに)鈴木剋之氏(現ショーボンド建設株式会社)、石井信隆氏(現株式会社大林組)、大島健志氏(首都高速道路株式会社)、飯島啓秀氏(現大成建設株式会社)。(写真/編集部)

トップ写真(大橋ジャンクション)/PIXTA

取材協力/建設コンサルタンツ協会 インフラストラクチャー研究所

構想は1964年から

首都高中央環状線は、現在の首都圏ネットワークである外環道、圏央道と合わせた3環状のいちばん内側にあり、2015年3月に全線が開通した。

三環状道路(東京都建設局HPより引用)

その計画は、1964年に建設省が東京都に委託した「大都市幹線街路調査」にさかのぼる。この構想図によれば、現在とほぼ同じ位置に環状線が走り、それは環状ネットワーク構想と同時に副都心構想として品川ー大崎ー渋谷ー新宿ー池袋をつなぐことも含まれていた。

中央環状線は、東名高速・中央高速道路から都内に入ってくる車を処理するために、西側から時計回りに整備が進む計画であった。

1970年に1期(品川~新宿)が事業化されるが、奇しくもこの頃から環境問題が顕在化してくる。目黒川上空を占用することから反対運動が大きくなり、77年に事業休止となってしまった。

そこで、東側から反時計回りに整備に着手した。東北道・常磐道からの接続も急務だったからだ。下図のように整備が進み、計画から50年を経て全線開通に至ったのである。

ちなみに1971年に工事着手した葛飾川口線では、1号線(上野線)延伸計画のために“イカの耳”が設置されている。

“イカの耳”は首都高独特の名称で、あとから他の路線に接続できるように準備された先行構造物だ。これこそ、延伸計画があったという証なのである。

【葛飾江戸川線】ランドマークとなった「かつしかハープ橋」

1977年に工事着手した葛飾江戸川線においては、堤防整備を同時におこなった。4つのルート案のうち、用地買収も周辺の配慮も最小限で済むため、河川行政と道路行政の協働によって道路・堤防整備を同時施工する中堤ルートが選ばれた。

この路線において特徴的な存在が、かつしかハープ橋だろう。

当初計画では、連続ボックス形式での施工だった。しかし詳細設計が進む中で、建設コンサルタント(新日本技研)の技術者から「資材の運搬、搬入、架設の制約があるのならば、斜張橋が有利ではないか」と提案があったのだという。

かつしかハープ橋(写真/PIXTA)

結果、世界初のS字斜張橋ができあがった。提案した技術者も、設計が進む中でその変更を認めた設計課長の英断にも、拍手喝采である。

首都高速道路公団 東京建設局長や参与、理事を歴任した鈴木剋之氏は、あるテレビ番組でかつしかハープ橋が取り上げられた際に、住民が「子どもたちにふるさとをつくってくれた」と話しているのを見て、「われわれの使命とは、こういうことなのだ」と誇らしく思ったそうだ。

【王子線】飛鳥山の桜を枯らすな! 環境対策やまちづくりへ挑む

続いて1986年に着手した王子線では、環境予測技術開発が進んだことにより、さまざまな環境対策を実施する。石神井川を河川改修しつつ、高速道路の基礎と橋脚工事が整備された。

桜の名所である飛鳥山の「桜を一本も枯らしてはならない」という条件のもと、自然環境への影響の最小化が求められた。首都高では都市NATM(New Austrian Tunnelling Method)の初採用に踏み切ったのだという。

また王子線は、まちづくりに連携した初の路線でもあった。四ツ又商店街地域の活性化のため地下駐車場の併設などが盛り込まれたのだった。

荒川渡河部は、江北橋(ゲルバー式ランガー橋)とのバランスを考えて、ダブルデッキ・ニールセンローゼ橋を採用。これは五色桜大橋という名前を与えられ、ライトアップにより地域を代表する構造物となっている。

五色桜大橋(写真/PIXTA)

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「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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