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難所をつらぬく国道45号線と「3.11」復興の歩み【戦後インフラ整備70年物語】

難所をつらぬく国道45号線と「3.11」復興の歩み【戦後インフラ整備70年物語】

復興コンセプトと復興で見えた課題

東日本大震災による道路被害箇所は100%着工しており、7割の252km分が完成している。のこり約100km分、難関の久慈大橋(仮称)、新思惟大橋(仮称)、気仙沼湾横断橋(仮称)の建設工事がまだ残されている。

さて、この三陸沿岸道路は6つの設計コンセプトがあるのだという。

・強靭性の確保(津波浸水地域を回避、または高さのある橋梁で通過)

・低コストの実現(4車線・トランペット型インターチェンジを2車線・コンパクト型インターチェンジへ)

・復興まちづくりの支援

・拠点と連絡するインターチェンジ等の弾力的配置(防災拠点施設や産業施設等へのアクセス性を考慮して出入口を設置)

・避難機能の強化(緊急避難路、階段等の設置)

・ICTによる通行可能性の把握(ITSスポット等で走行速度等を収集し、リアルタイムで道路情報を把握)

東北地方整備局の先代工事事務所調査二課長、整備局道路計画第一課長から道路部長、整備局長と長く東北地方の道路に携わってきた川瀧弘之氏が登壇。川瀧氏は国道45号の被災状況、そして復旧状況をGoogle Earthを使って解説した。

 

川瀧弘之氏((一財)日本みち研究所、元東北地方整備局長)

Google Earthには、震災当時の映像がまだ記録されている。たとえば気仙大橋は、181.5メートル、400トンの上部工が流されてしまった様子を見ることができる。

陸前高田市から気仙沼まで25キロだった道のりが、迂回路を使うと約70キロになってしまう。インフラにおける橋の影響力の大きさを、川瀧氏は再認識したという。

これらの事業を10年で達成する「即年着工」の原動力のひとつに、官民連携の事業促進(PPP)がある。従来は発注者の行ってきた協議調整などの施工前業務を、民間技術者チームが発注者と一体になって実施するものだ。

現在も進められているPPPの具体的な活動報告として、宮古田老工区(みちのく・復建・三協・戸田JV)を担当するみちのくコンサルタント担当者からの説明動画や、また契約方式が工夫されて「大ロット発注」を取り入れた摂待道路工事(大成・銭高・東日本コンクリートJV)の説明動画(大成建設担当者から)が、さらに新区界トンネル工事(鹿島・東急JV)については、急速施工の工夫について鹿島建設担当者から説明動画が放映された。

また復興のシンボルである長大橋の気仙沼湾横断橋(仮称)や5キロの「新区界トンネル(仮称)」、大ロットで発注された「摂待道路」についても、現地からの報告があった。各方面からの協力を得て作成されたという報告は、とても見ごたえのある内容だった。

一方で復興道路については、まだまだ課題があるという。

2016年2月から復興支援道路の整備について連載した、河北新報の山形聡子記者がゲスト登壇した。

山形記者は1年間の取材を通じ、利用者は本当に増えるのか、ストロー現象による周辺地域への影響が出るのではないか、また設備維持が将来の負担になるのではないかといった懸念材料があると語る。その上で、三陸沿岸道路をツールとして最大限に活用し、観光や物流活性化などに使っていけるかどうかが重要だと述べ、「地元の知恵が試されるところ。今後、どのように使われていくのかを引き続き追っていきたい」と話した。

最後に川瀧氏は、「復興道路整備も含めた復興事業は、超高齢化エリアでのコンパクト&ネットワーク事業だ」とした。課題も批判もあるものの、短期でなく長期的な視点で検証していくべきであり、ここまで復興道路整備が進捗したのは、財源と目標年度を定めた「整備計画」の賜物で、インフラについての「整備計画」の有効性が実証できた――と誇らしげに語った。

ただ、さらなる迅速な復興のためには、予算、組織、各種手続き、契約手続きなどについて、「平時→災害時」の切り替えをシステムとして組み込んでおくことが重要であると川瀧氏。

「大震災からしばらくはインフラ建設業界について世の中の期待が大きく、イメージもよかった。しかしすでに、それはネガティブになりつつあるのではないか。建設コンサルタンツ協会においても、引き続き業界のレピュテーションマネージメント(評判・ブランド管理)に取り組んでいただくことを期待したい」と締めくくった。

 
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「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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