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ワザ・モノ

ケンクラフトのケンさんは今日もミニチュア建機で人々に“幸せ”を売る【前編】

ケンクラフトのケンさんは今日もミニチュア建機で人々に“幸せ”を売る【前編】

ミニチュア建機は何のためにある?

数多あるミニチュアモデル専門店の中で、KEN KRAFTの品揃えは非常にユニークだ。「よそがやっていないものばかり、扱っていた」とケンさん。年に5回ぐらいアメリカへ行って古いプラモデルなどを買い付けして、手づくりでカタログを作って配布する。商品がなくなれば、また買い付けへ……を繰り返すうちに、徐々にお客さんが付くようになってきたとか。「自転車操業どころか、三輪車操業ぐらいでしたけれどね」と屈託なく笑う。

ある時、建機好きだという人物から一本の電話があった。間違い電話だったようだが、当時16万円ぐらいという真鍮製のモデルを紹介すると、「それ、欲しいです!」。この「彼とはその後、長い付き合いになりました。彼がいなかったら、ケンクラフトはこうなってなかったかもしれないな」という電話の主こそ、長野県・伊那市で「はたらくじどうしゃ博物館」館長の土田健一郎さんだというのだから、縁とは奇妙なものである。

ところで当時、ミニチュア建機は一般に入手できるものではなかった。なぜなら建機メーカーがすべて買い取り、ノベルティとしてユーザーに提供するたぐいのものだったからだ。しかしそれが流通しはじめると、模型メーカー側も潜在的なニーズに気づき、少しずつラインナップが増え、精度も上がっていったのだという。

彼もまた、ミニチュア建機の魅力やニーズに気づいたひとりだった。

「アメリカのスワップミートに行った時に僕が感じたのは、『どんな趣味の世界も間口は狭いけど実は奥が深くて広い』ということです。ドイツ製のミニチュア建機を細々と扱っている日本の輸入業者はありましたが、アメリカに行けば、日本で売っている価格よりもはるかに安くて、しかも簡単に手に入る。また、日本国内の有名模型店でさえも、建機ミニチュアは店内の端に3つぐらいしか置いていないし、なおかつ『こういうのは売れないんだよねぇ』と言うんです。ということは、彼らが『売れない』と言うぐらいだったら、僕がこれを扱っても迷惑にならないな、と」

そうは言っても、高額でニッチな商品を扱うのは、個人商店としてはかなりのリスク。相当のチャレンジであるという不安や認識はなかったのだろうか?

「……そう言われてみれば、そうかもしれないね」と少し考えた後、「僕は人と戦うのがイヤなの。負けるのがイヤなのかもしれない」とはにかむ。市場のニーズを読んで、売れるという確信があったのか、というさらなる問いにも、今までで一番力強く、言い切った。

「これは売れる、というより何より、“僕自身がこのミニチュア建機が好きだから”だったんですよ。愛なんです、簡単に言うと」

 
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「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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