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整地に除雪に活躍する異形の建設機械「モータグレーダ」を徹底解剖!

整地に除雪に活躍する異形の建設機械「モータグレーダ」を徹底解剖!

一口に建設機械といっても、実にその世界は奥深い。それぞれの機体は目的とする工事や作業のために特化した装備や機能を与えられ、その機体だけが持つ強烈な個性を放っている。

今回は、特に整地作業において抜群の威力を発揮するモータグレーダに着目。独特のスタイルに秘められた機能と性能をひもとく!

モータグレーダってどんな機械?

前方に長く延びたフロントフレームを持ち、その中央付近にブレードを装備した特徴的なシルエット。モータグレーダは一目でそれと分かる独自のスタイルを持っている。その特徴的なスタイルゆえに、モータグレーダは他の建設機械にはない優れた整地性能を発揮する。

そんなモータグレーダを構成している各種装置は何と呼ばれ、どんな役割を果たしているのだろう。モータグレーダを知るにあたり、まずはその代表的な装置と働きについて学んでいこう。

モータグレーダの特徴

モータグレーダ最大の特徴は、長いフロントフレームの中央部分にブレードを配置した機体デザインそのものにあるといっていい。ブレードを機体のほぼ中心に配置することで、前・後輪が拾う凹凸により、ブレードが上下することを極力小さくしている。さらに前輪にスウィング機構、後輪にタンデムドライブ装置を装備し、6輪あるタイヤのどれかひとつが上下してもブレード位置の変化を最小限に抑える構造になっている。

この構造によって波打ったような路面でも、モータグレーダで複数回走行することで平滑な路面を成形する機能を実現している。アスファルト舗装の前仕上げには、±1cm程度の精度が必要とされている。これを行うことができる建設機械は、モータグレーダだけなのである。

フロントフレーム前面板&前輪スウィング機構

モータグレーダはその用途によって、フロントフレーム前面にカウンタウェイトやプッシュプレートなどのオプションを装備するケースがある。フロントフレーム前面には、そうしたオプションを装着するためのボルト穴などがあらかじめ準備されている。

モータグレーダの2つの前輪は一体構造の前車軸によって、フロントフレームに取り付けられている。前車軸の中心をフロントフレームに取り付けることで、左右の前輪がシーソーのように揺動できるスウィング機構としてる。スウィング機構を採用することで、どちらか一方の車輪が上下しても車軸中心の上下変化が抑えられ、ひいてはブレード高さと傾きの変化を少なくすることができる構造となっている。

前輪

現在のモータグレーダはアーティキュレート方式が一般的だが通常の操向は前輪ステアリングで行う。アーティキュレートと組み合わせることで、長いホイールベースでありながら小旋回をしたり、車体をオフセットして作業範囲を広げたりする事ができる。また、一般的な操向に加え、前輪を傾ける事ができるリーニング機構が備えられている。これにより作業時に直進性を確保したり、旋回半径をより小さくする事に役立ち、モータグレーダには欠かせない機能のひとつといえる。

フロントフレーム

モータグレーダの特徴的なスタイルを決定づけているといっていいフロントフレーム。モータグレーダにとってはホイールベースの長さは整地性能にも直結するファクターで、非常に重要な要素。フロントフレームの長さは単に長いというだけではなく、ブレード幅やエンジン性能、目標とする作業能力など、さまざまな観点から計算されている。さらに作業機であるブレードを支える重要装置でもあるため、強度についても必要十分な強さが確保されている。

ブレードリフトシリンダ

ブレードリフトシリンダはドローバ、サークルを通して、作業を行うブレードを動かしている。ドローバ、サークル、ブレードにはたくさんの油圧シリンダが装備され、ブレードの3次元的な動きを可能にしている。その中でももっとも大きな油圧シリンダで、主にブレードを上下に動かす役割を果たしているのがブレードリフトシリンダ。2本の独立した油圧シリンダによって、ブレードの上下動はもちろんのこと、角度調節も行うことができる。

リフタブラケット

フロントフレームが貫通したブラケットで、リフトシリンダ、ドローバシフトシリンダをフレーム側に固定する役割を持つ。フロントフレームに対して回転可能な構造を持っており、左右3段階ずつ角度を変えることが可能。通常はピンで固定されており、回転させるときはピンを抜いた後、左右のリフトシリンダを伸縮させて行う。このブラケットが回転可能な構造になっていることで、バンクカット姿勢を取る事が可能になるなど、モータグレーダに欠かせない装置のひとつである。

キャブ


オペレータが乗り込み、モータグレーダを操作するための運転室。キャブ内には運転に必要なレバー、ペダル、ステアリングなどを装備する。モータグレーダの作業は非常に視界を重視するためガラス張りであり、さらに、複数のミラーやモニタなどが設置されている。良好な運転視界もモータグレーダの重要な性能の一つなのだ。古い機体ではオープントップのモデルも少なくなかったが、現在は安全面の配慮からROPS付キャブが一般的。

コクピット

予備レバーを含め、合計10本の操作レバーが並ぶコクピット。オペレータは10本のレバーに加えステアリング、アクセル&ブレーキを巧みに操作し、効率よく整地作業を進めていく。

ドローバリフトシリンダ&ブレード


ドローバリフトシリンダは、ドローバ後端とフロントフレームを、斜めにつないでいる油圧シリンダ。ブレードリフトシリンダとともに、ブレードの動きを制御する重要な役割を果たしている。ブレードリフトシリンダがドローバを上下に動かすのに対し、ドローバシフトシリンダはドローバを斜め方向に引き上げ、引き下げることで、ドローバ全体の横方向の動きを制御している。この3本の油圧シリンダを中心に、モータグレーダの特徴であるブレードの自由自在な動きを制御している。

ブレードはサークルに取り付けられ、ドローバを介してフロントフレームと連結されている。モータグレーダの主作業機となる装置で、路面を均す、掻く、削るといった作業が可能。主作業機であることから、モータグレーダの機体サイズを表す指標にも、ブレード幅が使われることが多い。国内で使用されているモータグレーダの主なサイズとして、ブレード幅3.1、3.7、4.3mなどがある。また少数ながら、4.9mという巨大なブレードを装備した大型モデルも存在する。

後輪&タンデムドライブ装置

モータグレーダはブレードを斜めに傾斜させて作業を行うケースが多い。そのため、車体には斜め方向の力が働き、まっすぐ進むためには強力な駆動力と直進性が必要になる。そのためモータグレーダの後輪は、2軸方式が一般的。直進性を確保するために左右輪の差動装置を設けないケースもある。最新モデルでは差動装置を装備した機体でも、より強力な駆動力と直進性が必要な場合に備え、デフロック機構を設けている機体が多い。

そしてモータグレーダの4つの後輪を支えているのが、タンデムドライブ装置。左右2つの車輪は、タンデムドライブ装置によって後車軸を中心に前後に結ばれている。前後の車輪は後車軸中心を支点にスウィングする構造となっており、ひとつの車輪が上下動してもスウィング構造がそれを吸収し、ブレード位置への影響を最小限に抑えている。同時に4輪すべてが常に接地している状態を保つことで、高い駆動力と優れた直進性を実現している。

サークル&ドローバ


サークルはドローバに吊り下げられるように装備された円形のパーツでブレードを支える重要な役割を果たす装置。サークルはドローバに回転可能に取り付けられており、内側に切られた歯車と噛み合った回転装置により、360度回転できる仕組みとなっている。モータグレーダの主作業機となるブレードはサークルに対しスライドや前後傾ができるように取り付けられており、サークルとともに任意の角度に回転する。

フロントフレーム前端にボールジョイントで連結された三角形のパーツで、下面にサークルを装備している。ドローバとフレームの間に取り付けられたリフトシリンダとドローバシフトシリンダによって、ボールジョイントを中心とする球面運動をすることでモータグレーダ独特のダイナミックな作業機の動きを実現している。

スカリファイア

スカリファイアは爪状のパーツが複数並んだ補助作業機。ブレードとは独立して装備されており、スカリファイア単独で作動することができる。複数の爪を使って硬い路面をほぐす作業や、路面上で材料を混合する作業などに使用される。補助作業機のため、機体の使用状況などにより必ずしもすべてのモータグレーダに装備されているとは限らない。しかし日本国内では、道路構造などにより使用頻度が比較的高いことから、標準装備している機体も少なくない。

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『建機グラフィックス』 編集部
『建機グラフィックス』 編集部
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