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建設職人甲子園理事長・石井 賢氏は問う、「あなたは自分の子どもに、職人の仕事の価値を伝えられているか?」【前編】

建設職人甲子園理事長・石井 賢氏は問う、「あなたは自分の子どもに、職人の仕事の価値を伝えられているか?」【前編】

きっかけはチームの崩壊から

石井氏は、埼玉県越谷市で外壁塗装専門店・株式会社マーブルを経営している。もともと絵を描くのが好きだった若き日の石井青年は、「絵画となにか通じるものがあるかも。それに独立の際には重機が必要なわけでもなく、初期投資が安く済みそうだ」という理由で、東京都足立区の塗装店で働きはじめた。

「当時は『学がないなら建設業』的なところがあった。それでも単純に独立願望と妙な自信だけはあって、『やるからには独立したいな』と(笑)」

しかし独立して10年後、2009年に法人化した石井氏の会社は、率直に言って「人にやさしくない」会社だったそうだ。声をかければ職人がそれなりに集まるような時代ゆえに、人材育成もチームづくりも考えず、「イヤなら辞めろ。替わりはいくらでもいるんだ」というスタンスである。「言い方は悪いですが、人を駒のように使っていたところがあった」と本人も当時を省みる。

草創期のメンバーが独立して代替わりした時、チームとして「……おやっ?」と思うような体制になった、と石井氏。そこではじめて、社員同士のコミュニケーション不足やチームとしての脆弱性に気付いたのだ。「これは参ったな」と思ったものの、なにをどこから手を付ければいいのか、考えたこともないので分からない――。

そんな時に「建設職人甲子園に参加しないか」と声をかけられた。

「いったいなんの団体かよく分からなかったんですけれど」と石井氏は笑いつつも、とりあえずなにかのきっかけになればと思い、飛び込んだ。きっとワラをもつかむ心境だったのだろう。そして第1回大会の職人によるプレゼンテーション動画を観て、石井氏は衝撃を受ける。

「そこでは、壇上で職人が自分の仕事を自信と誇りをもって発信していました。その姿に非常に感銘を受けました。『自分たちも参加すれば、自分たちもそこに近づけるんじゃないか、チームづくりのヒントを得られるんじゃないか』と思った」

石井氏はさっそく翌年の第2回大会の埼玉地区大会にエントリーし、職人たちとそれまでなあなあにしていた対話をはじめた。プレゼンテーションをつくる過程で、会社と自分たちを見つめ直し「自分たちの会社をどうしていくか、自分たちはどうしていきたいのか」という問いに対する答えを突き詰めた。

そして完成したプレゼンテーション。「職人たちとふたたびガチッと肩を組む、ひとつのきっかけができた。それはとてもありがたかった」と石井氏は目を細める。そして彼らは見事、埼玉地区大会で優勝したのだった。

 
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「建設の匠」編集部
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「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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