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建設職人甲子園理事長・石井 賢氏は問う、「あなたは自分の子どもに、職人の仕事の価値を伝えられているか?」【前編】

建設職人甲子園理事長・石井 賢氏は問う、「あなたは自分の子どもに、職人の仕事の価値を伝えられているか?」【前編】

他力本願ではなにも変わらない

建設職人甲子園に参加したことで、石井氏自身、大きく変わったという。

「社員との対話の時間をとても大切にするようになりました。それまでは忙しい日々の中でなかなか顔を合わさない社員もいて、そんな社員がたまに『ちょっと話がある』というと、それはすなわち『辞めます』だったんですけれど、建設職人甲子園を経験してから、人の心にどんな変化があるのか、そのシグナルを感じ取れるようになりました」と語る。社員の定着率は高くなり、社内の雰囲気も良くなったとか。

人材の大切さを身に沁みて感じた彼は、現在の建設職人不足を、業界の大きな課題として挙げた。

「前は職人募集を出せば必ず問い合わせ電話がかかってきて、選べる立場だったこちらがもはや選ばれる立場になった。いまは職業が多様化して、ラクして稼げる仕事だってなくはないですよね。そんな中でわざわざ汗水垂らして仕事する価値を伝えられていないのは自分たちの責任。それは最近、建設職人甲子園に携わりながら分かってきた」

働く最初のきっかけはどんな理由でもいいじゃないか、と彼は考えている。

「給料がいいとか休みが多いとか、そんな動機で全然いいと思うんですよ。問題は、その世界に飛び込んで、やってみて、その中で価値に気付き、いまの仕事を自分の“天職”だと覚悟を決められるかどうか。ただそれ以前に仕事の魅力を発信しなければ、きっかけすらつかんでくれない。自分たちが魅力を発信して、この業界にどんどん人が入ってくれるような形を自分たちで作っていかないと。誰かがやってくれるわけではないので」

建設職人の仕事の魅力を発信する。同時に、その仕事を続ける価値があると思ってもらえるように会社が変わる。そのカギは、なんといっても“経営者”なんだと石井氏は力強く言い切る。

「これまでの建設業では、その人が本当はどういう人なのかも知ろうとしないで、『あの人はこの仕事に向いていない』と早々に判断していた。ちょっと習得が遅い人がいたら、なぜその人は遅いのか、ちゃんと本人に向き合って接するようなことをしていない会社が多い。『この人は働きが悪い』と言う前に変わらなきゃいけないのは、代表者です。結局、『じゃあ、あんたはその人になにをしてあげられたんだ?』という話になるんですよ」

発注者、ゼネコン、社員、顧客、ライバル会社……。他の誰かのせいにするのは簡単だ。彼だって例外ではなく、『下請け』と呼ばれ、すさんだ時期もあった。

彼は腹をくくった。下請けがイヤなら、自社で施工すればいい。そのために技術を磨き、品質を売りにするしかない。そこでオリジナルのレンガ調塗装を開発し、本物を求める元請けだけと付き合い、あとは顧客からの仕事で会社を成り立たせる。誰かのせいにするのではなく、彼もまた当事者意識をもって課題に立ち向かったのだ。

 

 
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「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
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