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ビジョナリー

「働き方改革はコミュニケーション改善から」小室淑恵氏が建設パーソンに望むこと【前編】

「働き方改革はコミュニケーション改善から」小室淑恵氏が建設パーソンに望むこと【前編】

建設業界はどう変わってきたか

話を戻そう。なぜ建設業界は改革が難しいのか。何が障壁になっているのだろうか。

「業界のみなさんがもうじゅうぶん分かっている理由も、たくさんありますよね。それは工期であったり、天候であったり……。ひとつ大きな理由に、国が建設業界を労働基準法の特別な猶予枠に入れてきたこともあります。業界にしてみれば、おそらくロビー活動をして、労働時間の枠を緩くしてもらい、優遇してもらったのだったと思います。ところがこれはある時点から負のスパイラルに入りはじめた。労働時間が長い状況が恒常的に続き、それが建設業界の評価となると、そもそもいい人材が建設業界を希望しない事態がはじまってきて、それによってせっかくの技術も継承されなくなる。人が辞めやすくなり、いい人が来ないから生産性が落ちる――こういった理由で、いち早く働きやすさに軸足を移した業界と、建設業界の乖離が大きくなっていってしまったのだと思います」

いわば、人口ボーナス期の働き方を引きずっているのが、建設業界だということか。さまざまな業界をよく知る立場として、コンサルタントや講演などで関わりを持ってきた建設業界はどう映ったのだろう。

「最近はずいぶん印象が違うんですけれど……」と断りをいれつつ、「これまでの方法で戦ってこれまで勝ってきたし、その方法に確固たる信念もあったからか、かつては全然聞く耳を持っていただけなかった。2008~09年ぐらいにコンサルタントとして入った頃のパシフィックコンサルタンツさんにも、初めて講演会にうかがった日は質疑応答の時間に『うちの会社があなたの言うことを真に受けて働き方改革をして業績が落ちたら、あなた、補填してくれるの?そんなに甘くないんだよ』と(笑)。食ってかかるぐらいの勢いで反論されるのが、10年前の建設業界の印象でした」と苦笑いする。

「そこから徐々に『このままでは生き残れない』と意識が変わってきましたね。その変化は感じたんですけれど、『でも、それでも建設業界はこんな理由があるから改革は無理なんだ』と、ほぼ思考停止のように見えた時期が5、6年は続いたかなぁ」と振り返る。

「動かなければいけない必要性について、実はみなさん分かっているんです。でも、そこがアクションにつながるかというと……『ゼネコンが無理を言ってくるんだよ』、当のゼネコンも『国が無理難題な要件にも“入札しろ”と言ってくるんだ』と揃って『原因は外的要因にあって、自分たちができることは何もないのだ』という思考停止状態に陥っているように映りました」

誰かのせいにしておけば、とりあえず行動しないでも問題ない。しかし、社会はそのレベルも超える人不足になっていった。

 
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「建設の匠」編集部
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「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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