建設の匠
メニュー
メニュー閉じる
ビジョナリー

川田テクノロジーズ社長・川田忠裕氏は「人間と技術」の可能性を信じ未来を拓く【後編】

川田テクノロジーズ社長・川田忠裕氏は「人間と技術」の可能性を信じ未来を拓く【後編】

ロボットは建設パーソンの夢を⾒るか?

⼈手不⾜が深刻化している建設業界において、⽣産性向上のためにICTの必要性が叫ばれて久しい。しかし、建設現場は現場によってあまりに状況が異なるため、AIやロボットの適応が簡単ではない。⼀⽅で欧⽶では、モジュラー・コンストラクションという「建設の⼯場⽣産化」が進んでいる。ロボット×建設現場の最適解はまだまだ模索中だ。

ひるがえって川⽥グループには、産業⽤ロボットやICT技術をこれまで地道に開発し、世に送り出してきた実績がある。

「実はいま、当グループの⼤きなテーマです。国では『Society 5.0』を打ち出し、国⼟交通省でも『⽣産性を20%上げていこう』とi-Constructionを推進しています。川⽥グループは、建設業とは別の領域でロボットをやってきたんですけれど、建設現場などでもロボットやICT技術でなにか使えるものはないものか、と。

そこで、グループ内の多様性を活かし、川⽥⼯業の建築事業部や鉄構の建⽅部隊、それからコンクリート橋梁の川田建設、ITを担う川田テクノシステム、さらにロボット開発のメンバーなどと、川⽥テクノロジーズの技術研究所がプロジェクトに応じていくつもチームを組んでいます。そこで効率アップになるような研究開発を⾏っていて、徐々に成果も出てきています」

2019年3⽉にはビル建設時に鉄⾻を建てる「建⼊れ」⼯程を効率化するシステムを発表、すでに特許出願している。鉄⾻を垂直に建てるのにこれまで4、5⼈で⾏っていた作業を、IoT技術を持ち込んだのだ。これはきっと職⼈集団だけでは思いつかない。ヘリコプターやドローンを⾶ばす⼈やロボットをつくる⼈、プログラマーもデザイナーもいる川⽥グループならではのアイディアだ。ダイバーシティの勝利である。

現在のロボット開発は航空事業部の流れを汲んだカワダロボティクスが担っているが、「カワダ」のロボットには、⼤きな特徴がある。産業⽤ロボットとしては⾮常にめずらしいヒト型ロボット(ヒューマノイドタイプ)なのだ。

川田工業航空・機械事業部が2001年に発表した2足歩行ロボット“isamu”

「元来、ロボットは効率最優先です。⼯場は⼈間不在でロボットがラインを組んでいて、⼈間がボタンを押したら、ロボットが⼀⻫に動き出す⾃動⾞⼯場のようなイメージがあると思うんですよ。かたや、当社のロボットはなぜヒト型なのか。それはわれわれの使う道具も、道路や階段のような⽣活環境も、すべて⼈間のために作られているからです。⼀緒に働くならば、ヒト型の⽅が使い勝⼿がいいだろうと」

川⽥グループでは、ずっとヒト型ロボットにこだわってきた。航空事業に携わっていた技術者が東京⼤学からの委託によってロボットを設計・開発して以来、経済産業省主導の「⼈間協調・共存型ロボットシステムの研究開発」プロジェクトによるHRP(Humanoid Robotics Project)シリーズや、すでに多くの国内工場に導入されている双腕型産業ロボット“NEXTAGE”など、そのすべてが親しみやすいヒト型である。これらは「⼈間の代替物」ではなく、「⼈間との協調」という哲学を持ってつくられている。

現在のところ、⼈間のようにマルチタスクがこなせるロボットなど存在しない。「ロボットは万能だとみんな思いたいんですよ。でも、ロボットは人間に比べてまだまだ賢くないんです(笑)。ロボットにできることは限られています」と断⾔できるのは、ロボットに⻑く携わってきた川⽥⽒なればこそ。こんな知⾒を持った建設系企業のトップ、他にいるだろうか?

1
2
 
WRITER
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
建設転職ナビ