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日建設計社長・亀井忠夫氏は「パッションと調整力」の両輪で世界最大級の設計事務所を牽引する【後編】

日建設計社長・亀井忠夫氏は「パッションと調整力」の両輪で世界最大級の設計事務所を牽引する【後編】

価値あるものをつくるためのコミュニケーション

クライアントやチームメンバーとのコミュニケーションを図り、ステークホルダー間のバランスを保ち、仕事を進めていく上での心得とはどんなものだろうか?

「うちは比較的『あれはダメ、これはダメ』と締めつけのない設計事務所で、人がやりたいと思うことは、まずできる環境にしていると思っています。チームでアイディアを出し合って、もっとも可能性のある提案をさらに高めていく。

それと同時に、チームで取り組んでいるので、いい提案を出した人だけの手柄ではなくて、『チーム全体でつくりあげた』となることも大事だと思う。誰かひとりが天狗になってしまうと、同じチームの人もあまりいい思いをしないですから。アイディアの押しつけももちろん良くない。個々の個性も伸ばさないといけないけれど、チームのメンバーが気持ちよく一緒に仕事ができる環境をつくっていかなければいけない。両立は難しいんですが」

組織設計事務所の強みであるチームワークを維持するための調整力、それはたしかに大切だ。だが、亀井氏は大学教員などから「建築学科を卒業した人が発注者側を選んでいく」とよく聞くのだという。発注側ばかりが増えて、設計や施工をする人がいなくなったら、どうなってしまうのか――。そこでこんな話もしてくれた。

「『給料がいい』とか『安定している』など、待遇的な面もあると思うんですよね。それから『自分で手を動かしてなにかつくるより、巷にあふれるさまざまな情報を集めて仕事をすればいいじゃないか』的な考えもあるでしょう。なんだかじっくり考えて、集中してものをつくりだして、喜びを生む、そんなことに対する興味が若い人たちに少なくなってきてるのかなぁ。

あと、最近は、まず指示を待って、指示が来たらそのとおりにやってみるようですね。かつては、どちらかというと指示をされたら、まずそれに反抗するみたいな空気があった(笑)。いまの社員がみんなそうなっちゃうと、それはまたそれで困るんですけれど。

でもね、『これはどうなんですか』と食い下がる勢いはあってもいいと思うんです。一度そこでぶつかってみて、あらためて違うレベルで答えを出すような姿勢があってもいい。いまの若い人は、なんとなく遠慮しがちな気がします」

え、調整力が必要なんじゃないの? と思われるかもしれないが、「ものづくりにパッション(情熱)は必要だ。それが他と違うものを生み出すことにつながる」という彼の意見にはうなずかされる。調整も配慮も大切だけれど、ときには己の魂の発する声をぶつけるべき。ものづくりは、根っこにパッションが必要なのだ。

確信した。調整上手な一面はもちろんあるけれど、亀井忠夫という人は、やはり根っからのクリエイターだ。

 
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「建設の匠」編集部
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「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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