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「トンネル切羽の“声”が聞けるのは人間だけ」佐藤工業社長・宮本雅文氏の確信【後編】

「トンネル切羽の“声”が聞けるのは人間だけ」佐藤工業社長・宮本雅文氏の確信【後編】

外国人人材にできること、できないこと

東南アジアにおいて現地労働者を雇用し、事業展開してきた佐藤工業。日本の匠の技を教え込んでいけばある程度のレベルまでは到達する、と宮本氏も認める。

「すでにいまもさまざまな建設現場で外国人の研修生が働いていますよね。海外においても、旋盤工でいえば、タイの人たちは、間違いなくしっかりと仕事します」

しかし、と宮本氏。

「彼らをなぜ建設会社に社員として入れられないか。建設会社で働くためにはものすごくたくさんの資格を要するんですよね。たとえば研修生が日本語表記の運転免許証試験に受かるかというと、厳しいのが現状です。火薬を使う場合にも、発破技士の資格が必要になってきます。この資格を持つ外国人の方を、私はまだ知りません。建設業界は安全性を重視して、とにかく資格が要る仕事なので……」

さらに日本語を習熟し、繰り返し鍛錬を積んで仕事がこなせたとしても、これ以上にプラスアルファの発想力や気遣いが持てるか、と宮本氏は問う。

東南アジアのある国で行われた立食パーティで、ホテルの現地の人に食べ物を頼んだところ、「もうこれ以上はテーブルに置ききれないのに、止めるまで料理を運んでくる」という。そんなエピソードを苦笑しながら開陳し、日本人ならばテーブルの様子を見て判断する、そんな前後のことまで考えた行動が、匠の技に必要ではないか、と提起する。

「指で触って、0. 何ミリの仕上がりの差異を確認するような、そんな“匠”の世界に到達するには、対象に気持ちを入れ込めるようにならないといけない。そこには国民性や文化の壁はあるように思います」

おそらく、彼の物言いに対する賛否はあるだろう。しかし、海外の現場で丁々発止と渡り合ってきた彼の発言もまた、ひとつの真理であり、決して無碍にはできないものだと思う。

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「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部
「建設の匠」編集部の中の人。ひとりで取材したり記事を書いたり写真を撮ったりしております。ツイッターは@KensetsuTAKUMI、フェイスブックは@kensetsutakumi2018。
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